『巨人のいる街』

□第十話 素質と努力
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「だから本当は私も少し不安なんだ…」

と笑うアザレアをアニは静かに見ていた

「でも私よりエレンが大変だからエレンが出来るようになるのが先かな」


アニは長い間の中ぽつりと言った



『……何でそんなに他人を助けようとする』


アザレアはゆっくりとかみしめるように言葉を紡ぐ



「…私はただ、大事な家族をもう失いたく無いだけだよ」


『もう…か。』

つぶやいたアニの顔が少し悲しい顔になった気がした

「幼い私はまだ力が無かった。」

アザレアはアニから視線を外し何処か遠くを見る

「両親は壁外調査で巨人に殺された。エレンのお母さんも巨人に…だからエレンは私と復讐に取り憑かれてる」

まだ傷ひとつない手を握りしめる小さな手にシワがよる

「もう、嫌なんだ私を置いて消えていく人を見るのが……怖いんだ大切な人を失うのが…」

目を伏せる少し震える身体を抱きしめながら息をつまらせる

『……』

はっと顔をあげるとアニは無言でアザレアを見ていた

「!ごめん、長々と話…
『アンタ、馬鹿だね』

アニが謝ろうとした私の言葉を切ると飽きれたようにアニが言った

ぽかんとした顔でアニを見つめるとふいっと顔を背けられたが照れたように耳が少し赤かった

『いいよ、アドバイスしてあげるよあんたのそのお人好しに付き合ってね』

長い前髪をかき分けながらアニは座り直してアザレアに向き合う

「え…良いの!?あ、ありがとうアニ!!」


ひとつため息をつくとアニはアザレアにじっくりアドバイスをしはめた




「ごめん、もう一回説明して難しくてよくわからなかった…!」


『はぁ……』


アニのそのため息は不思議と嫌なため息では無かった






『アザレアとアニ楽しそうね』

『アニ、あんまり他人と話してるの見たことないのにね』





アニとアザレアの会話は周りから楽しそうに見えまるで姉が妹に教えているようだった




明日、上手くいく気がする


アザレアは新しくできた少し照れ屋な友達


また守りたいものがひとつふえた



「アニも守るからね…」



『?』



「ううん、なんでもないよ」















to be continued…
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