『巨人のいる街』
□第十話 素質と努力
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『基本通りにやればできるはず。上手くやろうとか考えなくていい』
その日の訓練の後、私達は訓練場に残りエレンにアドバイスをしていた
『上半身の筋肉は固く下半身の筋肉は柔らかく』
「前後のバランスにだけ気をつけて腰巻きと足裏ねベルトにゆっくり体重を乗せてみて」
『落ち着いてやればできるよ
運動が苦手な僕だってできたんだから』
ミカサ、アザレア、アルミンのアドバイスを大きな目を開き真剣に聞くエレン
『…今度こそできるきがする』
エレンは冷や汗を流しながら意を決する
『上げてくれアルミン!』
アルミンも固唾を飲みレバーに手をかける
『いくよ』
キリキリキリキリ
エレンの足が徐々に宙を浮いてゆき…
『あ!?』
「え!?」
『っ!?』
ガシッ!ブンッ
ゴッ!!!!!!
地面から足が浮いたとたん滑りエレンが頭から地面に頭突きをした状態になった
「え、エレェェェンッ!?」
ー
ーー
ーーー
皆が此方を驚いたようにこっちを見ている
アザレアがエレンの背中を押しミカサとアルミンがエレンの肩を担ぐ
白目を向いた燃え尽きたエレンは頭から血をダラダラ垂らしながら気絶している
ミカサは冷や汗を流しながら早く医務室に連れて行こうとしアザレアとアルミンは涙がぐみながらエレンを運ぶ
そのへんな光景は晩御飯の時間には知れ渡ったようで
ー
ーー
ーーー
『オイ、確か昨日の晩に…巨人を皆殺しにしてやるなんて言った奴だよな?』
『それがあの初歩の姿勢制御訓練ですでに死にかけたんだと』
『本当かよ…あんなこともできねえ奴がいるのか…あいつ…一体どうやって巨人を皆殺しにするつもりなんだ?』
「エレン」
『さぁな…しかしこのままじゃいずれ此処を追い出される、役立つに食わせるメシなんかねぇからよ』
『エレン』
『「エレン!」』
ミシミシッ
ミカサとアザレアでエレンの肩を強く掴む
あれからエレンを医務室に連れてゆき夕食の時間になった
周りの馬鹿にする声を聞き口をぽかんとあけて絶望の表情のまま固まったエレン、頭は包帯でぐるぐると巻かれている
痛みを与えるとやっと我に返る
『いでッ』
アルミンはその状況に苦笑しながら励ます
『気にしても仕方ないよ
明日できるようになればいいんだから』
「それよりちゃんと食べて今日失った血を取り戻したほうがいいよ」
アザレアはスープを指差す
『……』
エレンは納得いかないような顔でだまってスープを食べだす
『…明日…明日できなかったら…オレ…どうすりゃいいんだ…』
食べただしたと思いきや手を止めて頭を抱える
『だから今は悩んでもしかたないって』