傍にいる〜久遠のキズナ〜
□第弐話
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―――俺が、緋月と出会ったのはまだ俺が幼少の頃だった。
物心ついた頃、親父が赤子を連れて帰って来た。その日は仕事があると言って奴良組本家へ行っていたはず。にも関わらず、本当に小さな、それこそ生まれたばかりのような赤子を抱いていて、驚いたのを今でも覚えている。
「父さん、その赤ん坊はどうしたんだ?」
「この子は玖煉。今日から、ここに住むことになったんだ」
「…は?」
…今のは幻聴か?なんか爆弾発言があったような…ん?ここに住む、てことは…一緒に住むってことか!?赤ん坊とか?!
「なんで…?」
「玖煉のこと、いじめるなよ?大切な俺のむすめなんだから」
「むすめ!!?じゃあ、俺の妹なのか!?」
「ああ、違う違う。義理の娘ってことだ」
「なんだ、そうか…ってそうじゃないだろ!!なんで、義理の娘にしろここに住むんだよ」
父さんはどこか、抜けている。子供の俺から見ても、こんなのが組の頭領かとも思う。でも…
「…珀夜、話を聞いてくれるか?この子がここに住まなきゃいけなくなった理由を」
…やっぱり、父さんは長に相応しい。本気になったときの、この雰囲気。思わず、目を背けたくなるほどの真っ直ぐな眼光。
そして、話された玖煉の引き取られた理由。
このとき俺は、決めた。小さなこの赤子を護ると。