『祇園精舎の鐘の声、諸行無常の響きあり。
沙羅双樹の花の色―――』

「またそれかよ。本っ当に好きだなその歌」


突然背中から聞こえた声に驚きもせずに微笑みながら振り返る。壁に背中を預けて腕を組んでいる幼い頃からの幼馴染み。


『良い歌じゃないか、世の常を如実に表していて』

「…あんたね」

『力ある者は滅びゆくのが天の定めだと僕は思うんだよ。いつまでも過去の栄光にしがみつくなんざ滑稽もいいところさ。潔く散りゆくからこそ儚くもまた美しい終焉を迎えられるというのに…』


幼馴染みは困ったような顔で目を反らした。




遙かなる時空の中で3長編

名前設定


神子≠主人公
主人公設定


序章〜熊野より〜
勝浦の日蔭人

第一章〜京より〜
桜来、往来/混濁の聲/邂逅/紅い蝶、金の蝶/其々ノ刻/蒼天の舞、煌めく簪

第二章〜三草山より〜
蠱惑の薫り/梅の華、銀の獣、月の夢/焔の宴

第三章〜熊野より〜
潮風の揺りかご/木漏れ日のなかで/鬼灯の実

第四章〜福原より〜
浦波はゆるやかに足首を浸す/







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