伊予の戦女神



『祇園精舎の鐘の声、諸行無常の響きあり。沙羅双樹の花の色―――』

「またそれかよ。本っ当に好きだな、その歌」


突然背中から聞こえた声に驚きもせずに微笑みながら振り返る。

壁に背中を預けて腕を組んでいる幼い頃からの幼馴染み。


『良い歌じゃないか、世の常を如実に表していて』

「…あんたね」

『力ある者は滅びゆくのが天の定めだと僕は思うんだよ。いつまでも過去の栄光にしがみつくなんざ滑稽もいいところさ。潔く散りゆくからこそ儚くもまた美しい終焉を迎えられるというのに…』


幼馴染みは困ったような顔で目を反らした。



遙かなる時空の中で3長編。
神子≠主人公

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