掛け合い企画

□「飛べない羽で」台本
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※( )語り
※「 」台詞
※[ ]心中


リアラ
(特別な力を持っていたわけじゃない
自分たちの力で人々を幸せにした英雄と呼ばれる人たち)

リアラ
(そんな人たちなら知っているかもしれない
わたしが―)


カイル
「リアラー。リアラ?」

森の中で佇んでいたリアラを見つけたカイルは手を振りながら近付いてくる。

カイル
「いたいた!顔洗いに行って戻ってこないからさ、心配しちゃったよ!どうしたの?」

リアラ
「……カイル。」

カイルに気付いたリアラは名前を呼び、そして手の中の小鳥に視線を移した。

リアラ
「小鳥が…巣から落ちてケガをしていたの。ヒールをかけたんだけど、羽だけうまく動かないみたいで」

カイル
「本当だ。生まれつきなのかなぁ」

リアラ
「生まれつき?」

小鳥を見たカイルの言葉でリアラは顔を上げた。

カイル
「オレの孤児院の羊にもたまにいるんだ。生まれつき足が不自由なのとかさ」

そう言うとカイルは少し眉を下げた。

カイル
「ヒールでもダメなら……もう無理だよな。かわいそうだけど…」

リアラはその言葉を聞いて、自分のペンダントに手をあてる。
 
リアラ
[…だめだわ。こんな……小さな小鳥の羽さえ治せる力も…わたしには……]

そう思っていると突然小鳥が元気に鳴き出し、リアラの手から離れて少しずつ歩み出した。

カイル
「ん?」

尚も小鳥は鳴きながら飛べない羽をパタパタと動かして道を進んでいく。
そこでカイルは何かを発見した。

カイル
「あ。お母さん鳥だ。よかった…羽が不自由でも、ちゃんと生きてる」

リアラ
(―生きてる?飛び立てない羽を持って生まれて――)

リアラ
「自分でエサも取れずいつか死んでしまうわ」
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