掛け合い企画

□「歯ブラシを植える犬」台本
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兄弟達は飼い犬のポチを探しに外に出る。
父と母が共同作業で畑仕事をしていたのが目に入った。


「お、兄弟勢揃いでどうしたんだ?」

三男
「ポチを探しに来たんだ」

次女
「ポチの行方知らない?」


「ポチなら確か花壇に居たわよ?」

次男
「よしみんな花壇へ直行すっぜ!」

長女
「はいはーい」

長男
「なんでまた花壇なんかに…」


母の言った花壇へ兄弟は向かった。
花壇にもうすぐ着くであろう所で、いきなり大量の土が飛んで来て兄弟達を襲う。

三男
「うわっ」

長女
「ちょ…いたたた!」

次女
「痛っ…土が目に入った」

長男
「うおっ!?…はあ…土か」

次男
「口に入った…うぇ…」

各々が結構な被害を受けるが、立ち止まらない。土を飛ばしたのは確実にポチ。
穴を掘っている最中なのだろうか。

三男
「とうっ、鉄壁ガード!」

次男
「!?」

三男はおもむろに次男を引っ張り自分の前に立たせる。

長女
「あんた…ホント次男が嫌いなのね」

長男
「ああ…これはまさか…。ドンマイだな」

次女
「鉄壁ガードって事は…」

また大量の土が飛んでくる。

次男
「いでっ!体中に土当たってるって離せよ三男!」
 
三男
「これが狙いだもん!」

三男に向かって飛んでくる土は次男が体を張ってガードしていた。勿論盾にされている本人にはそんな意思はなくただ大迷惑な訳だが。

長女
「やっぱりそうか…」

長男
「そんなこったろうと思ったぜ…」

次女
「そのまさかだったね」

次男
「いだだだ!誰も助けないのかよ!?」

三男
「あ、ポチが居たよ!」

次男の言葉は三男により華麗にスルーされてしまった。
うなだれる次男を差し置き、兄弟達は緊張の面持ちでポチの元へ…

長男
「…あのさぁ、これってさ」

長女
「言いたい事は分かるわ」

三男
「これって明らかに…」

次女
「間違える所か好んで植えているようにしか見えないね…」

ポチは掘った穴にくわえた歯ブラシを立て掛け、くわえたまま土を丁寧にかける。
それはもう植物を植えるかのように…

次男
「って事はなんだ?引き分け!?アイス無し…だと!」

三男
「復活しなければうるさくなかったのに」

長男
「俺の歯ブラシ植えられてる…!」

次女
「全員歯ブラシ買い替え決定だね」

長女
「ポチが間違えた訳でも母さんが奇行に走った訳でもない…か。つまらないわね」
 

「あらあら…丁寧に植えてるわねぇ」


「ポチはなんであんな奇行に走ったんだろうな…」

ポチの事は、遠くから眺めていた両親にも分からなかった。

次男
「つまらん、激しくつまんねぇ!」

次女
「もう…アイス無しになったからって拗ねないでよ」

長男
「こんなに一生懸命奇行に走ってるし…歯ブラシ抜くのも気が引けるな」

長女
「「ポチの菜園」とか札立てれば?」

三男
「奇行に走った記念には丁度良いね。理由が謎でモヤモヤするけど…」

ポチの奇行は謎に包まれたまま。
残ったのは、モヤモヤした気持ちと7本の歯ブラシと「ポチの菜園」の札のみとなった。

END
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