綺麗な花ですね、と彼女が言った。彼女の淹れた紅茶を口に含んだ時だった。
「…紅茶、ぬるかったですか」
「ム……いや、丁度良い」
どうやら無意識のうちに顔を顰めていたらしい。
先日、花が届いた。私、宛に。添えられたカードに書かれた名に誰かを思い出したような気もしたが、はっきりと思い出すことは不可能だろう。
最初はどうでも良いと思ったのだが、気づくと窓際にあった。何故だか毎日、律儀に水をやっている。そしてその花を、彼女はにこにこと愛でている。
いい加減放っておこうかと思った矢先に。
(――世話をするか、まだ、暫くは)




07.12.09

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