Fake Blue

□NO8.地図にない街
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ソルジャークラス1stーーーセフィロスを間近で見たのは初めてだった。
クラウドもクラス1stだが、自分と変わらない『人』の気がする。何を考えてるかわからねえが。
しかし、セフィロスは違う。
アイツの武勇伝は新聞で散々読んできた。各地で起こったいくつもの神羅への反乱ーー戦争をたったひとりで鎮圧した英雄。
なにが英雄だ。ソルジャークラス1stなんてヤロウは、ただの人殺しだと思ってた。

だが、アイツはーーーいや、アレは『人』じゃねえ。世界中の人間を殺しても、アレは何とも思わねえだろう。
アレには心を感じねえ。ただ、己が生きるために他を喰らう、感情のない昆虫みてえだ。

エレノアはーーあんなヤツの女だったのか。
アイツが口ぐせのように言ってる『クラス1stはバケモノーーー』
あながち、嘘じゃねえのかもしれねえな。






ーーーコスタ・デル・ソル、入港5分前。各員、接岸準備を開始せよ


侵入者の騒動が落ち着き、その後は順調に船は航行した。
船底に隠れていたクラウドたちは、航海の終わりを告げる船内アナウンスに安堵した。

「このまま、ここに居るの?」

エアリスはエレノアに問う。

「いいえ。それだとまた、ジュノンへ戻ってしまうわ。ルーファウスが降りれば、船員たちも全員下船する。私たちも降りましょう」

「降りたら、どうするの?」

少し船酔いしたのか、青白い顔でラティアもエレノアを見る。それにエレノアが答える前に

「セフィロスを捜そう」

クラウドがキッパリと言った。




船に設置されたタラップをルーファウスが真っ先に降りると、コスタ・デル・ソル支部の神羅兵たちが出迎えていた。

「長時の船旅、お疲れ様です」

「うむ・・ご苦労。スキップの準備を急げ」

「はっ!」

神羅専用のヘリポートへ向かうリムジンの中で、ルーファウスは前を見据えたまま口を開く。

「・・・セフィロスが乗っていたらしいな」

「はっ」

助手席で、ハイデッカーがかしこまる。

「クラウドたちも乗っていたらしいな。しかも、エレノアが仲間になっていると」

「はっ」

「どちらも取り逃がしたーー大失態だな、ハイデッカー君」

「面目ない・・です」

ヘリポート内にあるラウンジでひと息ついていると、スキップの準備が出来たと連絡が入る。

「スキップの準備、完了しました」

「セフィロスの件は何とかしたまえ」

ルーファウスはラウンジを出ると、スキップに乗り込み、何処かへ飛び立った。
それを見送りながら、ハイデッカーは、プレジデントの時代よりもやりずらくなったと思った。彼は世辞を喜ばない。
気に入られるには、結果を出すしかない。







「乗組員は、あらかた下船したみたい。私たちも今のうちに行きましょう」

船を降ると、港は人気もなく静まり返っていた。

「これからどうするの?バレット。このまま、みんなでゾロゾロとセフィロスを探すの?」

「どうするって、そりゃあーーー」

ティファの問いに、バレットは口ごもる。

「とりあえず、宿を決めましょう。それから情報収集ね。その後、買い物に行きましょ。ミッドガルを出てから、着替えてないでしょ」

エレノアの指摘に、ティファたちは思わず自分の服の匂いを嗅いだ。
確かに宿には泊まれたが、着の身着のままだ。

「いいわよね、クラウド」

「・・わかった」

クラウドが不承不承に返事をすると、エレノアは街へ歩き出した。
バレットはため息をつき、クラウドとレッドXVを見る。

「こうしていてもしょうがねえ。俺たちも行こうぜ」


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