短編
□挑発
1ページ/6ページ
《挑発》
マスターエラクゥスは、キーブレードマスターを目指す、3人の弟子たちを呼んだ。
「マスターエラクゥス、お呼びでしょうか?」
弟子のひとり、テラが言った。
彼の真っ直ぐな眼差しには、光が宿り
鍛えられた肉体は、闇を倒す力が溢れていた。
「うむ。皆に集まって貰ったのは他でもない。
新しい《コマンド》を、マスターしてほしいのだ」
「新しいコマンド?」
「それは、どんなコマンドなのですか?マスターエラクゥス」
最年少の弟子ヴェントゥスと、紅一点のアクアが身を乗り出す。
ヴェントゥスは、素早い動きで敵を封じ込め
アクアは、圧倒的な魔力で敵を倒す。
「その《コマンド》とは、《挑発》だ。
敵の判断力を無くさせ、単調な攻撃しかしなくなる。
混乱や毒という、厄介な攻撃をする敵に、非常に有効な手立てだ」
「マスターエラクゥス、そのコマンドなら、《ミラージュ・アリーナ》へ行けば金貨で買えるのでは?」
「莫迦者!!!!」
エラクゥスは、拳を震わせてテラを怒鳴りつけた。
「テラ!!何ということを口にするのだ!!
仮にもキーブレードマスターを目指す者が、《コマンド》を金で買うなどという情けないことを………」
俯いて顔を覆う師匠に、3人は動揺した。
「申し訳ありません!マスターエラクゥス!
俺が…俺が間違っていました!!」
師匠の涙に、テラはうなだれた。
「分かったのなら、それで良い。では、早速、各々《挑発》のポーズを考えてくるのだ」
「は?」
テラは顔をあげた。
アクアとヴェントゥスも、顔を見合わせる。
.