頂き物
□意図
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今となっては………後悔してる。
どっかの誰かさんにからかわれたくらいで、子どもみたいに怒っちゃったこと。
なだめる二人に余計に腹が立ってしまったこと。
……後先も考えずに、勝手に皆の傍を離れてしまったこと。
「だからって………だからってこんなにいっぺんに出て来ることないじゃないか、この馬鹿ぁああっっ!!!!」
目の前の道を阻むのは、仰々しく登場した魔物の群れ。
…叫んでみたところで、何がどうなるわけじゃない。
分かってる。
分かってるんだけどさ……
女一人に4匹掛かりって、それはちょっとひどいんじゃない……??
剣を構える、両手が震える。
乱れた呼吸に、肩が上がる。
中心に漂ってる目玉のお化けは、それを見てニタリと笑ってる。
いや……事実、笑ってるわけじゃないんだろうけど、今は嘲笑われてるように見えてしまうんだ。
「ほら見ろよ。馬鹿な女が勝手に拗ねて、一人でのこのこ殺されに来たぞ。」って。
………嗚呼やめて。お願いだから言わないで。
余計に凹むから……!!
「べっ……別に……こっ、怖くなんてないんだから!!
あ、あああんた……アンタ達くらい……アーロンもジェクトも居なくたって………あ、あたし一人で充分なんだからッッ!!!」
キシャア!!
ギャアギャア……
「……だい、じょうぶ……なんだからぁ!!!!!」
嗚呼、やけに視界が滲む……
柄にもなく涙が止まらな…………あれ?!あたし泣いてる?!
え?!嘘、マジで?!
マジで泣いてるの自分?!
恐る恐る目じりに触れる。
……やわりとぬるい雫が触れる。
うわ、最悪!超カッコ悪いじゃん……!!
仮にも(そう、仮にも。たとえぽっと出の半裸のオヤジにからかわれたとしても)召喚士様のガードやってる人間がなんだってこんなことで泣いてるのよ!!
「ち、違う違う!!これはそういうんじゃなくて……そう!!ちょっと目にゴミが入っただ……」
ギャーーース
「け…って、そんなこと聞いてるわけないよね?!いやぁああああやめてぇええまだ死にたくなーーーい!!!!!!」
ズズゥゥン…
……重厚で、派手な地響きの後
「おらぁ!!なーに敵目前で試合放棄してんだクソガキ!!」
数十分前に聞いたのと変わらないトーンの罵声が、遥か頭上から響いた。
確かにアイツとは、かなり背の差があるけれど……それにしても位置が高すぎだ。
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