頂き物

□花と子犬
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「結構咲いてるなぁ。」

桜並木が続く河川敷。今日は桜祭りが開催されている事もあって、多くの人で賑わっていた。

「ザックス、ここにしようか?」

「了解!」

1本の木の下にレジャーシートを敷いて、早速お弁当を広げる。

「おぉ!美味そう〜!!」

お弁当の中身はハンバーグにエビフライ、ポテトサラダ…ってなんかお子さまランチみたい。

「お弁当、作らなくても良かったかな?」

周りには屋台が出ていて、ここまで良い匂いがやってくる。

「俺はこっちの方がいいな。こういうの屋台にないし。」

そう言うと、ザックスは手作りの小ぶりなハンバーグを一口でほお張った。

まぁ、ハンバーグの屋台とか聞いた事無いもんね。

「アヤの弁当もなかなかだぜ!」

「食べ物を口に入れたまましゃべらない!」

あぁもぅ、食べカスが飛んできたー!





「はぁ〜、食った食った。」

大量に作ったお弁当をペロリと平らげたザックスは、私の膝の上に頭をのせてゴロリと横になった。

「ちょっと、そういう事は彼女にしてもらって下さい。」
「アヤこそ、手作り弁当は彼氏に作ってやれよ。」

「彼氏がいたら、そもそもあんたとここに来ない。」

互いに憎まれ口を叩きながらも、桜と春の風を堪能する。

う〜ん、気持ち良い…ん?

ふと、ザックスを見ると…寝てる。気持ち良さそうに大口を開けて熟睡中。

仕方がない、少しこのままにしておいてあげよう。




足が…しびれた…!よし、叩き起こそう。

「起きろー!!」

そう言って足を崩すと、ザックスの頭はレジャーシート越しの大地に盛大に叩きつけられた。

「痛ってぇ!もっと優しく起こせよな!!」

「足がしびれるまでしてあげたんだから文句言わない!」

「へぇ〜、ここか?」

「ーーーーーっ!!」

しびれた足をつんつんされたあまりの痛さにザックスをひっぱたくと、奴は笑いながら走って行った。

しびれが治ったら覚えていなさい…!




「ほい。」

戻ってきたザックスから差し出されたのはピンク色のソフトクリーム。

食べてみればそれはー

「ーん、これ桜味?」

「ピンポーン!」

季節限定の味を堪能している間に、先程の恨みもどこかへいってしまった。

私も単純だなぁ…。

「アヤ、美味そうな屋台がたくさんあったから見に行こうぜ!」

「え、まだ食べるの?」

『花見に行こう』って言ったのザックスなのに、あいつ全然見てないじゃん!本当に"子犬"なんだから…。



     花と子犬



(当然!!ほら、行こうぜ!!)
(はいはい、行きますよ〜。)





美咲による続文
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