Fake Blue

□NO3.囁く声
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地下に落とされた4人は、薄暗がりの中、びしょ濡れになって立ち上がった。
穴は下水道に直結しており、それが幸いして事なきを得たようだ。

「大丈夫か?」

「えぇ・・」

エアリスは濡れて顔に貼り付いた髪をのけながら立ち上がった。

「イタタ・・ ラティア 、大丈夫?」

「・・うん・・何とか。でも、臭い・・」

「もう、サイテー!!これ!」

ラティア とティファも身体を押さえた。おまけに下水でドロドロだ。3人の女たちは不機嫌な顔になる。

「 ラティア 、ケアルのマテリア、持ってる?」

「うん、持ってるけど・・」

ブレスレットにしているマテリアを見る。

「攻撃魔法は得意だけど・・回復は苦手・・・」

「ちょっと、貸してくれる」

エアリスは ラティアからブレスレットを受けとると、ケアルを発動させた。

「うわぁ・・」

穏やかな、薄いグリーンの暖かい光が4人を包み込むと、見る見るうちに傷を治していく。

「あ、凄〜い。キレイになった!」

「ほんとだ。臭いもとれてる」

ティファが白いタンクトップを引っ張って確認する。

「いっしょにファイアもちょっと入れたの」

「スゴいな」

3人の賛美に、エアリスは照れ臭そうに笑う。

「まあ、なんとか最悪の事態からは逃れられたわね」

「最悪の事態はこれからよ。マリン、バレット・・みんなーー」

置かれている状況に、ティファは唇を噛む。こうしている間にも、爆破の準備は進んでいることだろう。
神羅は、やると云ったことはどんな非情なことも必ず実行する。

「諦めない諦めない。柱壊すなんて、そんな簡単じゃないでしょ?」

「・・そうね、そうよね!まだ時間あるわよね」

「戻ろうよ、ティファ。七番街へ」

「えぇ」

「出口を捜そう」

クラウドが歩き出すと、3人も後に続いた。




水路を小一時間ほど歩いた所で、ハシゴを見つけた。ハシゴの先には丸い蓋が見える。
クラウドは、ハシゴを昇ると思いきり蓋を押した。

「どう?クラウド」

「ーー開きそうだ」

ゴトンーーと音を立て、蓋は上へと転がった。穴からから上半身を出したクラウドは、辺りを見渡す。
誰もいないことを確認し、外へ這い出した。
クラウドに引っ張り上げられ、次次と ラティアたちも外へ出る。

「ここはーー?」

申し訳程度に灯る街灯に、列車が浮かび上がっていた。
しかし、どれもこれも錆び付いていたり窓ガラスがなかったり、まともに動きそうな車両は見当たらない。

「列車墓場だよ、クラウド。七番街の駅の奥の方ーー」

「使われなくなった車両の廃棄場所よ。子どもたちの遊び場になっちゃってるけど。七番街はもうすぐよ」

今度はティファと ラティアが先頭に立つ。この辺りは熟知しているらしい。

「なんだか、オバケ、出てきそう」

肩をすぼめて歩くエアリスに、クラウドは並んだ。

「エアリス、すっかり巻き込んでしまってーー」

「ここから帰れ!なあ〜んて言わないでね」

「あぁーー」

こんな状況でも好奇心に満ちた彼女の瞳に、クラウドは苦笑した。
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