Fake Blue
□NO.12 ロケットのある村
1ページ/10ページ
ニブルヘイムを出発すると、ニブル山を超え北を目指す。
セフィロスが北を目指しているーーーかどうかは、さだかではない。
クラウドが、そう言い張っているだけだ。だが、闇雲に探しても見つかる可能性は低いだろう。
だから取り合えず、北に進んでいる。
「ねぇ、今日も野宿かなぁ」
ユフィが悲しく呟く。
「・・そろそろゆっくり入りたいね、お風呂」
マテリアを使って湯は作り出せるが、服を脱いで浸かる気にはなれない。
「うん、髪もちゃんと洗いたいし」
髪の汚れを気にしながら、テイファも頷く。その時、ラティアが前方を指差す。
「あれは?」
遠くに村が見えた。しかし、ラティア が指したのは村ではない。村の中に少し傾いた長い煙突。ユフィは額に手をあて、爪先立ちになる。
果たして、煙突に見えたものはーー
「スッゴい、ロケット?」
ユフィは踵を下ろしてラティア を見る。確かにロケットだ。
「どうして村にロケットが?」
「遊園地・・とか?」
「こんな辺鄙なところに?」
「エレン 、いいかげん教えてくれ」
痺れをきらしたバレットが、エレノア を見る。
「じゃあ、艇長に聞きに行きましょうか」
「艇長?」
レッドXVはエレノアを見上げる。
「艇長は、神羅カンパニーの宇宙開発部門にいたパイロットよ。世界初の、宇宙飛行士になる予定だったけど・・ちょっとした事故があって、打ち上げが頓挫したのね。それ以来、ここで宇宙に飛び立つ夢を見ながら、燻っているの。あの錆び付いたロケットは、神羅カンパニーが宇宙開発に力を入れていた頃の名残」
「まだ、宇宙開発部門て神羅カンパニーの中にあるのよね」
「えぇ、形だけね。気象情報とか役に立つし。それに・・」
「何?」
「パルマー宇宙開発部門統括が、行く場所がなくて」
苦笑いするエレノアに、テイファたちは少しだけ神羅に同情した。
そんな中、クラウドはエレノアの隣に立った。
「この村に、黒マントの男はいるだろうかーー」
「さぁ・・・」
クラウドの問いに、エレノアは気のない声で返事をした。
.