優夢

□イマドコ
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「………」
「………」

食堂で隣り合わせになった侭
すでに、30分…

「………」
「………」
「ちょ…ちょっと、お二人さん」

見兼ねた中忍の女性が
泣き付いたのは
アンコ…団子の串を回しながら
微妙な顔で二人の前に座った

「何か?」
「何よ」
「アンタ等、仲悪いの?」
「夕日上忍と私が?」
「イルカ先生と私が?」
「だまーって、30分、黙々と食事って…
 そもそも何だって隣り合ってんの」

アンコの言葉に
二人が不思議そうな顔をしていた…

「仲悪かったですか?」
「悪くないわよね?」
「はぁ?」
「私がね…イルカ先生に相談してたのよ」
「アンタが?」
「アンコに言っても無駄だし」
「何でよ」

みそ汁を飲み込み
紅が箸を置く
イルカも緑茶を飲みながら
紅に向かって…

「俺も、多分同じです…」
「…うん…」
「だーから、何の相談なのよ」

アンコが言った後
紅がやっと…
小さく、ポツリと…

「独占欲で、我が儘になるのよ…」
「紅?」
「本当は…そんな事したり、言いたくないのに
 ドンドン、我が儘になるの…」
「アスマの事?」
「…素直で可愛くなりたいのに…出来ないの」
「それで、何でイルカ?」

イルカと目が合って、二本目の団子を口にした

「私も…同じですから」
「アンタ恋人居たんだ?」
「はい…」

紅がお茶を汲み
一息つけば…

「アンタは誰?」
「………」
「紅は知ってんの?」
「聞いてないけど…多分、そうかな…って」
「あぁ…多分、そうです、はい…」
「イルカ先生は不安じゃないの?我が儘言った後…」
「不安ですよ…私の場合、状況が少し違いますから」

二人の話を聞いていたら
奥の入口から、アスマが入って来た

「何だ、もう食ったのか」
「アスマが遅いからよ
 待ってるなんて言ってないもの」
「まぁ、確かにな」

苦笑しながら
紅の頭を撫でれば
今にも泣き出しそうに、紅の瞳が揺れた

「悪かったよ」

アスマの言葉に安心したらしく
ホッと息をついた…

「お前は何してんだ?」
「あたし?中忍に泣き付かれた
 こいつ等、30分も無言で食事してたから」

チラリ、と…
イルカに視線を向ける

「…行かないのか」
「………」
「随分、探してたぞ」
「イルカ先生…」
「…良いんです…」

無理矢理、お茶を飲み込み
トレイを片付け、食堂を出た…

「………」

歩きながら、気配を感じる…
後から、ついて来てる…

それなのに…
声をかけずに、待ってる…
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