月光

□君のAnswer
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『幸せに、なる』

―でも、現実は違う―

『幸せに、なる』

―そうやって逃げ続ける―

『幸せに……』

―見ないふり、知らないふり、解らないふり―

『…おれは…』

―逃げ続ける―

『……おれは』

―ただ、逃げ続ける―




「幸せに…なりたい…」

不意に、頭上から聞こえた声に
カカシは首を動かし
イルカの顔を覗き込む

「どーしたの、急に」
「……いえ…何も…」

イルカは複雑な表情をしていた

何もかも、諦めたような
悲しそうな…顔だった

「幸せって、具体的には何なの?」
「…解りません…」
「解らないのに、なりたいんだ?」
「駄目…ですか…」

声が震えていた
恐らく、カカシの気配に怯えているのだろう

「別に…駄目じゃないけどさ
 解らないなら、叶えようもないでしょ?」
「………」
「俺はね、イルカ先生
 アンタが好きで惚れてんの
 アンタの為なら、何でもしてあげたいんだよ」

カカシの言葉には、一つの嘘も無い…

「それは…解ってるつもりです…」
「……そうやって、逃げ続けるんだね

ポツリと呟いた声が
カカシの真実の言葉だった…










「……え」

思わず、聞き返した…

「ペインとの戦闘で…はたけ上忍が…」
「綱手様は知っているのか?!」
「直ぐに、急行しないと」

周囲が騒がしい…
里の混乱の中、聞こえた単語

『 殉職 』

誰が?

あの人が?

どうやって?

「イルカ!!ボケッとすんな!!」

急速に、現実は襲ってきた…
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