月光

□Baby cruising Love
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受付に座りながら
ふと、時計を見遣る…

夕刻、5時…

いつもなら、帰る時間なのに
今日は…違う…

『ね、俺の報告書は
 イルカ先生が受け取ってね』
『何言ってるんですか…』
『早目に帰れる様に努力するから、ね?』

ニッコリ笑って
そんな事を言った…

予定の帰還日は、昨日…
朝からずっと待ってたけど
あの人は戻らなかった…

「イルカ、お前まだ残るのか?」
「あ…うん…一応、零時までは…」

隣に座っていた人間が入れ代わる…

ぼんやりと、時計を眺めていた…

「…(まだかな…」

秒針を目で追って
ただ、時計だけを見詰める

「…(逢いたい…な」

(あの人に、逢いたい…
きっと、怪我をしてるから
早く手当をして…
お風呂に入れて、洗濯して…)

「…(逢いたい…早く…早く」

胸が痛くて
時計の針が滲んで見える…

報告書を受け取りながらも
気になって、上の空で…

零時の…鐘が鳴った…

「………」

今日も、戻らなかった…

明日は何時に行こう…
あの人が…
いつ戻っても良い様に…
ちゃんと、受付に居ないと…

考えながら、門の近くまで来てしまった…

「…(カカシさん…残酷だ」

こんなのは…酷い…
帰還日を言って、任務に出たのに…

「…(早く…帰って来て…」

逢いたい…
早く逢いたい…

任務先まで行けないから…
行けない…から…

「…(いつから、だっけ」

あの人が『俺の任務先?ん〜…内緒』
って…言うようになったの…

前は、教えてくれたのに…
機密を破ってでも、教えてくれたのに…

「…カカシ…さん…」

逢いたい…
逢いたくて、堪らない

一秒でも早く『お帰りなさい』って、言いたい…

「逢いたい…です…カカシさん…」

いつから…
いつから、こんな風になったんだろう

最初は、あの人から告白されたのに…

いつの間に…
立場が逆転したのだろう

たった…数日の任務でも
逢いたくて堪らない

本音を言えば、一日だって我慢出来ない…
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