月光

□ourselves
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『アンタが真摯に可愛がって大切にしてるアイツは
 人柱力でアンタの仇でしょ
 綺麗ごとばっか言ってないで少しは自分の気持ちも認めなよ』

そう、何十分かの口論の末
無意識に口を突いた

『………』

無言の侭
平手を食らった…
いつもなら、避けられる筈なのに
気配も動きも見えなかった

『失礼します、はたけ上忍』

無感情、無表情なまま
背中を向けて歩いて行った…

いつもなら…

『どうしてそんな事言うんですか!!
 ナルトは化物じゃないし俺の仇でもない!!』

そう、言い返すくせに

何も言わなかった…

「何やってんだ、お前等」
「……喧嘩、放っといて」
「別に関係ねぇけど…あまりイルカに嫌な事言うなよ」
「………」
「アイツ、最近チャクラが変だしな」

その言葉に顔を上げた
平手を食らったのは、その所為だろうか?
いつものイルカと違って
何だか、別人みたいで

凄く嫌で…

『アンタ、自分が何してるか解ってんの!?』

なんて…言ってしまった

言い過ぎた…と、思うには遅い
イルカは口を利いてくれないだろう

「……ごめん」
「…俺に言うなよ」

目の前のゲンマが苦笑した

そうだ、直に追いかけて
『ごめん、言い過ぎた』って
そう言えば良かった…

待機所で暫く過ごして
適当に買い物してから帰った…

部屋は、真っ暗なまま

「……そりゃ、そーだ」

喧嘩をしたのだから
アレだけ酷い事を言ったのだから

イルカが帰ってくる筈が無い

「………」

改めて見ると
1人の部屋は意外に広く感じた

「………」

自分の部屋にイルカが居るのが当然、なんて
ただの思い込みだ。

現実なんて、結構シビアだし
男同士の恋愛なんて、長く続く訳も無い

「………」

そう云えば…
この間の喧嘩の原因は『女』だったな

絶対的に、勝てない気がする。
自分がどれだけイルカを好きで愛してても
女には勝てないと思う

「………」

あの時、イルカは泣いてた

『酷い事言わないで下さい』

そう言って、泣いてしまった
……泣かせたり、怒らせてばかりだ

俺はただ…

イルカと居たいだけなのに

どうして上手く出来ないんだろう
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