月光

□ジョバイロ
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日付が変わった瞬間
この、影のような時間が好きだ…

銀時計を眺めて
溜息を一つ…

どうして、自分は上手く出来ないのだろう
もっと上手く出来れば
今とは少し違うかもしれない…

「イルカ?」
「……」
「何考えてんだ」
「何でしょう…解りません」

疵を舐め合う…
セックスもキスもしない
ただ、寂しさを埋め合う為に
抱き合って眠る…

「…寒いか?」
「いえ…」

互いに愛している人が居る…

「ゲンマさんは、寒いですか?」
「…少しな」

ゲンマさんの愛してる人は
二度と触れられない場所に居る…

「ゲンマさん…」
「ん?」
「俺達は…何をしているんでしょうね」
「…そうだな…」

俺の愛している人は
自分とは違う次元に生きている

「馬鹿みてぇだけど…」
「…離れられませんね…」

互いに笑ってしまう…

いつから、こうなったのか…

「イルカ…」
「はい…」
「俺と同じ目にあうなよ…」
「……」
「もっと、上手くやれ…な?」
「はい…」

きっと、初めて気付かれた相手が
この人だったから相談した
この人なりに…
自分を励まして、慰めているのだろう…

そう…思う…

「おやすみ」
「はい…おやすみなさい」

ゲンマを好きになっていれば
この状況は、最高の幸せ

ゲンマを好きになっていれば

もう、何度もそう思った

「………」

それでも、自分の心には
彼が存在している…

「………」

我ながら
厄介な相手を好きになった…

相手は上忍
それも、最強のコピー忍者

『はたけカカシ』

気になっていた所に
気付かされた…

教室で考えてる時に
肩を叩かれて

『いつも有難う』

そう、言われて
顔を上げたら
もう、居なかった…

受付で、アカデミーで
擦れ違っても会釈だけ
共通の話題はナルト達しかない…
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