月光

□BE WITH YOU
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「………」

傘をさしたまま
アカデミーの入口に立ち尽くす…

時間は、深夜に近い…

こんな時間に…とは、思う
明日の朝でも良いだろう、と…思う…

「………」

今日…心の変化を知った
自分の心の悲鳴を聞いた

「………」

ただ、部屋に居るのが窮屈だっただけかも知れない
なんだか、落ち着かずに
息苦しかった…

「………」

傘をさしたまま…
アカデミーの入口にしゃがみ込む…

遠くで…鐘の音がした…

日付が変わった…

「………」

下を向く…
水溜まりに映る自分は
今にも泣きそうな…
悲しそうな顔をしていた…

「………」

書類を手にしたまま
動けなくなった…

あんな時間に…

あんな場所で…


『俺は貴方が好きです』


言われると思ってなかった
特別、意識なんてしてなかった…

『……はたけ上忍?』
『明日から、任務に出るので
 言っておきたかった』
『…………』
『帰って来たら、返事を聞かせてください』

そう言って、消えた…

日付が変わった今
あの人は任務に出たのだろう…

『お気をつけて』と、言えなかった

ただ、カカシが消えた後に
心の中で、ゴトリ…と音がして
声にならない声がした…
口から出る声ではなく

心の中の悲鳴…

任務に出る姿を
もう、何度見送ったのか…

その度に、妙に寂しくて
悲しくて…
それでも、笑顔で見送った…

「……はたけ…上忍…」

吐息を漏らすと、やっと足が動いた…

朝が来て、アカデミーで授業をして…

三日…経った…

「お〜い、イルカ〜」
「猿飛上忍、お疲れ様です」
「火影様が呼んでたぜ」
「あ、ありがとうございます」

会釈して、火影室に向かった…
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