甘夢

□バラ色の人生
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「…でね、彼がね…」
「うっそ…アンタ、そんななの?」
「だぁってしょうがないでしょ、好きなんだから」
「いや、でもさ…」

上忍待機所で、女性数人が
意外と下世話な話しをしている

「あのさ〜…」
「あっ、すみません…こんな話…」
「いや…それよりさ、その話さ〜」
「はい?」
「男も濡れるよ?」

カカシの一言で、待機所の空気は凍り付いた…

「前じゃなくて、後ろね
 俺はタチだから無いけど、相手は濡れるよ?
 だから、女だけじゃないよ?それって」

聞き耳を立てていた事より
遥かに重大な事をサラリとカミングアウトして
カカシは待機所を出て行った

「はたけ上忍って、ソッチなの!?」
「それより相手は誰よ!?」

色めき立つ周囲をよそに、紅とゲンマが溜息をついた

「……ぁ」

受付の前を通ると、イルカが席について
何やら考え込んでいる

「……どーしたの?」
「………ぁっ、いえ…」
「悩み事?」
「いえ…そんなんじゃ無いんです」

苦笑して
話を逸らせようとしている…
カカシはイルカの横に座り
机に肘をつく

「俺は頼りにならない?」
「違いますっ!!」
「じゃぁ、相談してよ」
「……ぁの…はたけ上忍…男が感じるのって
 そんなに、変なんですか…」
「セックスの話?」
「午前中、暇で…話をしていたんです…
 彼女は感じると、濡れ方が凄い、とか…
 泣きながらねだられるのが堪らない、って…」
「過激な話だね〜;」

イルカがふと、カカシを見詰める

「それで…あの…
 相手が自分を欲しがって、余裕が無い姿に
 凄く感じる…って…言ってしまって…」
「…貴方が?言ったの?」
「はい…それで…どんな相手と付き合ってんだ?
 って…言われたので…その…綺麗な人…って」

耳まで真っ赤にして告げている

「…俺?」
「名前は出してませんよ…」
「へぇ…なんか、意外」
「す、すみません…」
「いやいや…俺、その場に居たかったなぁ…」

クスリと笑って
イルカの前髪を掬い上げる

「貴方がそんな風に考えてた、なんて…」
「…っ…」
「余裕の無い俺が好き?」
「ちが…そうじゃ…なくて…あの、その…」

俯いてズボンを握り締めている
ホントに可愛くて仕方ない

「ね…好きなの?」

もう一度問い掛けると
イルカは涙目になりながらも
コクリと頷いた…

カカシは立ち上がり
窓から無言で出て行く…

ふと、イルカも人の気配に顔を上げた…

『自分を欲しがって、余裕が無い姿に、凄く感じる』か…

ま、確かに余裕は無いな…
イルカとシテル時の自分は、全然余裕が無い…
同性云々、イルカの色気に遣られてしまう

「……う〜ん」

しかし…
女が濡れるのは、そう云う構造体だから
当たり前だろう…

「…最近、特になんだよねぇ」

相手がそう、なのは…

頭を掻いて
部屋に戻った…

枕元のコンドーム、数個使ったきりで
まだ残っている

「ん〜………」

何気なしに膨らませて
手で遊ばせていると、イルカが帰って来た

「なっ…何、して…」
「いや…考え事…」
「悩み事…ですか?
 あ…俺が変な事言ったから」
「違〜うよ…俺も、あの前にそう云う話をしてた
 あのさ…イルカ…」
「はい?」

カカシに手招きされて
膝に乗せられる

「濡れてるって、自覚はある?」
「………は?」
「うん、だからね…中が濡れてるって自覚」
「ッッッ!!!?」

流石に…赤くなって
口をパクパク言わせている

「無いんだ、やっぱ…」
「ぉ…俺、そんな…なんです、か?」
「いや、他は知らないけど
 最近、特に濡れやすいかなぁ…
 それって…なんで?」
「知ら、ない…です…」

恥ずかしがって
俯いたイルカの顎に手を添える…

「っ……ん」
「……っ」
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