甘夢

□セラミックガール
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「まだ、残ってたのか」
「…別に」
「別に、か…」

ふぅ、と溜息をついて
何気なく隣に座る

まだ、小さな子供

その視線の先には
何が見えているんだろう…

「先生は、残業か?」
「まぁね」
「……」
「あー…サスケ、腹減らないか?」
「いや…」
「そうか?俺はもう腹ぺコ
 一楽寄ってくけど、どうする?」

そう問うと
少し考えてから
無言で頷いた

「サスケと帰るのは、久々だな」
「アンタはいつもナルトだもんな」
「ん〜…間違ってないな」

その答えに
不満そうに舌打をした…

「あ〜らら…珍しい」
「カカシっ」
「お疲れ様です」
「イルカ先生、逢いたかったです〜」
「っ、こら、触んな、カカシ」

抱き付こうとするカカシの服を
思いっきり引っ張って
何とか制止している

「カカシ先生、だろ?サスケ」
「こんな奴…先生じゃない」
「手厳しいねぇ」
「すみません、カカシさん」
「いやいや、良いんですよぉ
 それよりイルカ先生…食事行きません?」

カカシの提案に
イルカはサスケの手を取って

「すみません、今日はサスケと食事なんです」
「あらら…残念」
「……」
「また、誘ってください」

カカシに会釈して
サスケと手を繋いだまま
ゆっくりと一楽に向った…

「…良かったのかよ」
「サスケ?」
「あいつ、先生にとっては上官だろ」
「あぁ、大丈夫」
「…でも」
「カカシさんは、そんな拘り無い人だから
 それに、今日はサスケと居るしな」

ニッコリと笑われては
何も言えなくなる…

「…早く、大人になりたい…」
「どうした、急に」

ラーメンを食べて
缶ジュースを飲みながら
部屋の近くの公園
ベンチに2人で腰かける

「大人になれば
 アンタを俺だけのモノに出来る」
「……」
「アンタは嫌かも知れないけど
 俺は絶対にアンタを手に入れる」
「ん〜…嫌って訳じゃ無いけどな」
「ホントか?!」
「ただ、俺な…人を好きになるってのは
 今市良く解ってなくてな」
「好きな人、居ないのか?」
「ん〜…世間一般の云う、好きってのが
 正直、解らん…
 でもなぁ、恋はしてみたいな」

照れた様に
頬を指先で掻いて笑う…

「じゃぁ、俺を好きになれば良い」
「サスケ?」
「まだ、好きじゃなくても良い
 徐々にで良い…
 俺を特別に想ってくれれば良い」

イルカの目を真っ直ぐに見詰めて
そう告げると
今度は急に真っ赤になって
『じゃぁな!!』と言って
走り出してしまった…

「ハハ…参ったなぁ…」

余りにもストレート過ぎて
考える事も出来なかった…

「好きになれば良い、か」

そうだなぁ…と呟き
残った缶珈琲を一気に飲み干す…

サスケの言った提案を
直に実行してみたい…

自分の何が好きなのか解らないけれど
不器用なくせに
一人前な告白をした彼の為にも

恋をしてみたい
そう思う、自分の為にも…


〜Fin〜
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