お題

□たった一人の貴方に贈る11の言葉
1ページ/1ページ


彼らが。いや彼が。
この島から消えて、どれくらいたっただろうか。

己は新しく島の番人となり、小さな友達と楽しく気ままに生活を楽しんでいる。
元の国に帰った、彼は今何をしているのだろうか?



長かった梅雨があけ、真夏の太陽が島を照らす。
俺は、たまりに溜まった洗濯物を洗い、家の前に綺麗に干した。
青空の下で揺れる、色とりどりの服が気持ちよさそうになびく。
チミっ子と犬は、島で元気に遊んでいて、自分は今はフリー。
散歩をしようと、島を歩き始めた。

森の奥のほうへ進むと、じめっとして湿気が多い場所へ出た。
誰が立てたのか、お墓までご丁寧に陳列している。

ふと。
青白い顔の彼を思い出した。
炎を身に纏うと、青白い肌がうっすら赤み、唇は朱に染まる。
男を美しいと、初めて思った。

名前は、呼ぶと切なくなる。
姿だけを心に残し、ただの幻という事にして、すべてを忘れようと思った。


あぁあの美しい彼は誰だっけ?

どこかあの中国人と似ていた。

あの美しい彼は誰だっけ?




彼は、今何をしているのだろうか。
会いたいと、切に願った。
姿は覚えているのに。
名前を忘れてしまった。



-終-


.

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ