□ Dream
□振り回されているのは
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さっきからバクラは、真剣にデッキの構成をしているみたいで。
せっかく会いに来てこうして一緒にいるのに、つっけんどんな態度でお茶を出してくれたきり、あたしには目もくれない。
つまらないなぁ。
「…バークラ!」
ちょっとイタズラをしてやりたくなって、無防備なバクラに後ろから抱きついてみた。
「…うぜぇ。どいてろ」
何の反応もなく、迷惑そうな冷たい声。いつものことだけど。
「だって全然構ってくれないじゃない」
「離れろ、暑苦しい。オレは今忙しいんだよ」
「ちぇー」
離れろと言いつつも、ムリヤリあたしを離れさせようとしないところを見ると。
そう本気で嫌がってるわけじゃないんだよね、…って思っててもいいんだよね?バクラ。
(あー、あったかいなぁ。いい匂い…)
瞳を閉じてバクラの体温や鼓動を感じていると、なんだかたまらなく愛しくなってしまって。
彼の細い首の横に顔を埋めて、華奢な体をきゅ、と抱きしめた。
「………、おい」
いつのまにかカードのパチパチという音が聞こえなくなったと思ったら、代わりにバクラの声が耳に入る。
「なぁに?」
「…あたってんぞ‥、さっきから」
「なにが?」
「言わせてぇのか」
「……?」
……あ。
(ああ‥)
意図的ではなかったけれど、結果あたしは胸をバクラの背中に押し付けてる形になっていて。
「ふふ…あててんのよ?」
「――テメェ…!」
やっとこっちを向いてくれたあなたの顔は、心なしかほんのり夕日の色に染まっていた。
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