DUMP

□オレンジ色のぬくもり
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+オレンジ色のぬくもり+



「あーあ、おれ右投げ右打ちなのに・・・」

さっきよりはマシになったものの、手首を動かすと鈍い痛みが襲ってくる。
自室のベッドに横たわり眠ろうとするが、今日あった出来事が頭の中を駆け巡り眠気を引っ張っていってしまう。

この手首の痛みを生み出した原因・・・・・・・・・。
おれは、荒れ狂う海に突き落とされた。
おれが生まれる前からおれを守り、信頼を寄せていた、名付け親によって。
苦境を乗り越えようと協力し合った時に、もしかしたら昔の関係に戻れたのかもしれない。
そう思った。
なのに、なのに・・・・・・。

目頭が熱くなるのを堪える。
ここで泣いたら駄目だ。
泣けばきっと、眞魔国の王としての責務を果たせなくなる。
落ち着け、ウェラー卿の事は考えるな。
おれは魔王なんだから弱音を吐いたりしちゃ駄目だ。


コンコン


「陛下、失礼します」

聞き慣れた声が耳に入り、おれは体を起こした。

「どうした、ヨザック?」
「手首が痛むんじゃないかと思いまして。丈夫な包帯探してきたんで、固定しましょ」
「ああ、頼むよ」

ヨザックはおれの右手を優しく手に取ると、包帯を少し強めに巻き始めた。
「ぃてっ」
「おっと。少し痛むかもしれませんけど我慢して下さいね。ちょっときつめに巻かないと動き回るのに支障をきたしますからね。はあ、坊ちゃんが船の中で大人しくしてくれればグリ江の仕事も楽になるのに〜」
「出来ればそうしたいんだけど、そうもいかないからね。そういや、船あんまり揺れてないけど外の方どうなの?」
「安全地帯に入ったらしく、さっきまでのが嘘みたいに穏やかになってますよ。少なくとも明日までは抜けないでしょうね」
「そ、か。サラは、どうしてる?」
「オレがこっちに来る時にはもう灯りが消えてましたから、お休みになられたんだと思いますよ」
「そう。てか、おれが心配する必要なんて無いんだよな。サラにだって、ちゃんとした護衛が・・・」
バカかよ、おれ。
考えるなって言い聞かせておきながら、自分から思い出しちゃうなんて。
ほら、また泣きそうになってる。
駄目だよ、今はヨザックいるんだし。
ただでさえ迷惑かけてるんだから、心配までさせちゃ。
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