DUMP

□硝子の恋心
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月の輝く空の下
この唇を
この心を
あなたに捧げよう



+硝子の恋心+



ぼくの名前はダレン・シャン。
ぼくは半バンパイアだ。
今、ぼくは師であるクレプスリーと共にバンパイア・マウンテンに来ている。

先日、此処で起こった事は、忘れることが無いだろう。
ぼくたちバンパイアの兄弟でもあり、敵でもあるバンパニーズとの戦い・・・。
この戦いは、ぼくの親友だった男の裏切りによって起きてしまった。
今回の戦いに勝利したぼくらは、裏切り者のバンパイアを死刑に処した。
そして、ぼくは消え去るはずだった命を長らえることができた。
皮肉にも、裏切り者の男に与えられるはずだった地位に着くことによって・・・・・・。
こうして、ぼくはバンパイア元帥となった。

しかし、ぼくは元帥になるための儀式を全くと言っていいほど、行っていないので、ここ数日、それらの整理に引っ張りだこだった。
とりあえず、仕事がひと段落着いた為、ぼくは同室のハーキャットに「ちょっと散歩してくるよ。」と言って、洞窟探検に来た。
探検と言っても、前に見つけた洞穴に来ただけだが。
ここには、ぼくがバンパイア・マウンテンに来てから試練を受ける事になるまでの間に2,3回しか来たことがないが、その全部が昼間だった(あの頃はハーキャットも忙しかった)為、このほら穴は、ぼくの秘密の場所となっていた。
一人で過ごしたい時などには、もってこいだ。
それに、此処は眺めが良かったので、ぼくが元帥として本格的に仕事にかかる前に、一度、星を見に来ておきたかった。
今日は運良く晴れていて、雲一つ無い空に、たくさんの星と形のいい三日月が輝いていた。

「うわぁ!すっごくキレイだ。」

そう呟いて、ぼくは、洞穴のふちギリギリの所に腰を下ろした。

◆◇◆◇◆
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