DUMP
□紅い雫
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残り少しになった時、グウェンダルの喉から、僅かに声が漏れた。
「どしたの、グウェン?」
グウェンダルを覗き込んだユーリは、その指から紅い雫が流れるのを見た。
「ぅわ、血だ!大丈夫?」
「紙で切っただけだ。これくらい、舐めておけばすぐ治―――」
言葉が途切れたのは、彼が驚いたから。
目を瞠ったのは、ユーリが彼の指先を口に含んだから。
「な、何を・・・・・・」
「舐めとけば治るって言ったじゃん」
見上げてくるユーリの瞳に見入りそうになって、グウェンダルは目を伏せた。
だが、視線を下ろした先にあったのは、ユーリの唇だった。
そこから覗く舌が、ゆっくりと傷跡を舐めていくのを見て、心臓が撥ねた。
「・・・・・・っ!」
「ごめん、痛かった?」
「大丈夫だ。そ、その、化膿するといけないから、一応医務室に行ってくる」
心配そうに見てくるユーリにそう告げると、グウェンダルは慌てて部屋を出た。
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