TROVADOR

□特大パフェ
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「ご注文はお決まりでしょうか?」
「ウルトラBIGフルパで!!」
「かしこまりました。少々お待ち下さいませ」

真選組屯所から歩いて十数分の、そこは有名チェーンのファミレス。
店内の奥の方にある喫煙席の、更に奥まった席で、浮き足立った銀時と眉間に皺を寄せた土方が座っていた。

「店員ドン引きだったぞ」
「だろうねぇ〜。いい年した男二人がこんなん注文すりゃあ」

銀時が開くのは、懐から取り出したチラシ。
メニューと同じ写真に、「新メニュー!」と書かれたそれは、仕事帰りの土方に突きつけられた紙だった。

『新八がさ、持って来てくれたんだよコレ。万事屋の金を使わないんだったらどうぞ、って。だから連れてってv』

その後何にでも付き合ってあげるから、などと言われたら、誘いにい乗らないわけにいかなかった。
しかし、今は少し後悔している。
銀時が注文したのは、通常の6〜7倍はあるパフェ。
土方にとっては見ただけで気持ち悪くなるような巨大なブツを、目の前の銀時は本当に嬉しそうに待っている。

この笑顔が見られただけでも甘味のキツさを我慢する価値はあるか。

しかし、その矢先、土方はとてつもない後悔に襲われた。

「お待たせしました」

店員が運んで来たパフェは、明らかに実寸大と書かれた店内のポスターよりもデカイ。
予想以上の大きさに、銀時の目はダイヤモンドばりに輝いている。

「お客様、お写真撮らせていただいてもよろしいでしょうか?」
「へ?」

見れば、店員の手にはポラロイドカメラ。
そういえば店頭に小さな写真がたくさん貼られているのを見た気がする。

「いえ、結構です」

男二人でパフェ挟んでるトコなんて、記録に残してたまるか!

「え〜、いいじゃん撮ろうよぉ。お姉さん、お願い」
「はい」

注文を取りに来た店員と違い、この店員は上機嫌な笑顔で応対してくる。
まるで、『こういう仲』に免疫があるような・・・。

っと、それよりも。
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