TROVADOR

□最高のpresent
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本日、7月29日は、おれ渋谷有利の誕生日。
なのに・・・。

「じゃ、コレに全部書いてあるから。よろしくね、ゆーちゃんv」

何故おれの誕生日パーティーの買出しに、おれが行かなきゃならないんだろう・・・・・・?

「まぁまぁ、僕も一緒に行ってあげるからさ」
「・・・・・・・・・」

隣でにこやかに言うのは、渡されたメモにざっと目を通す村田。

「・・・じゃ、行って来るから・・・」
「寄り道しちゃダメよ〜」

+最高のpresent+


・・・・・・はたして・・・・・・・・・・・・これは・・・・・・・・・・・・・・・寄り道になるのだろうか・・・・・・・・・・・・?

「眞王廟、かな?・・・まさか、来ちゃうとは思ってなかったなぁ」
「嘘つけ。だったら、何で水溜りが大量にある道を選んで歩いてたんだよ!それに、アレはどう考えてもわざとだろ!?」

家を出てスーパーに向かったおれたちは、道を塞いでいる大きな水溜りに遭遇した。
直径は、だいたい1メートル半ってところ。
助走すれば飛べない事も無い。
ところが、おれが地を蹴る寸前、村田が足払いをかけたのだ。
もちろん水溜りへGO!

「・・・・・・あとはそのままお馴染みのスタツアへ・・・・・・」
「あはははは〜」
「笑い事じゃない!」
「ユーリ」

クスクスという笑い声と共に、スタツアよりも馴染み深い声がおれを呼んだ。
振り向けば、そこには。

「コンラッド!」

タオルと着替えを持ったコンラッドが立っていた。

「あれ?ギュンターは?」

いつもなら必ずいるはずのギュンターがいない。
有り得ない。

「ギュンターは、準備に忙しいもんで・・・」
「ん?何か言った?」
「いえ。さ、陛下、猊下。急いでコレに着替えて下さい」

渡されたのは、いつもの学ラン。
なんだけど・・・。

「なんか、ゴージャスじゃないか?」

金の糸で刺繍なんかされてるし、生地も上質な感じがするし。

「村田のだって・・・」
「ま、すぐにわかるって」

◆◇◆
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