DUMP

□Silent
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「ただいま〜」

帰宅したおれを駆け足で迎えたのは、いつになく上機嫌な母親だった。

「どうしたんだよ、お袋?」
「お袋じゃなくて、ママ、でしょ。そんな事より!ゆーちゃんにお客様よ」
「客ぅ?」

訪ねるおれには答えず、早く早くと言いながら背を押してくる。

「ちょっ、客って一体誰なん・・・・・・・・・」

ショックのあまり、手からカバンが落ちた。

「お帰りなさい、ユーリ」

そう言って爽やかに微笑むのは、異世界にいるはずの、おれの名付け親だった・・・・・・。


+Silent+


「・・・コンラッド、な、なんでこっちの世界に?」
「ユーリに会いたい、と言ったら、ウルリーケが送ってくれたんです」
「はあ!?そんな私利私欲の為に、ウルリーケさん脅して力使わせたのか?」
「脅したんじゃなくて、お願いしたんですよ」
「そうよ、ゆーちゃん。こんなにステキな人が脅しなんてするわけないでしょ。ね、コンラッドさん?」
「あなたのように美しく清純な方に庇っていただけるなんて、俺は世界で1番の幸せ者だ」
「まあ。でも、いけないわコンラッドさん。私には夫と2人の息子が・・・」
「甘〜い雰囲気の中で、昼ドラ的な危ない方向に進むのはやめてくれー!」
「もう、ゆーちゃんたら。ムードぶち壊しじゃないの」
「拗ねないで下さい。大丈夫、ムードなんか無くても、あなたはとても美しく輝いていますよ、お義母さん」
「こら、そこ!さりげなくお義母さんとか言ってんじゃねえよ!!もういい、あんたコレ以上お袋と話すな。ほら、上行くぞ」
「えぇ〜!つまらない。もっとコンラッドさんと、お話したかったのに・・・」
「申し訳ありません、お義母さん。ですが、俺にとって、ユーリは何よりも最優先するべき存在なんです。ですが、もう2・3日はこちらの世界にいるので、お話でしたらその間にいくらでもお聞きしますよ」
「コンラッドさんて、本当に紳士な人ね。私も、うまちゃんなんかじゃなくて、あなたみたいな人と結婚したかったわ」
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