長編 ひまわり(水戸)

□17話
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ピンポーン



洋平がインターホンを鳴らしても名無しさんは出て来ない



(……)


ドアノブに手をかけると鍵は開いていた



「入るぞー‥」



玄関の鍵をかけて家に上がるとシャワーの音が聞こえた



洋平の胸がズキンと痛んだ



名無しさんは洋平が居る居ない関係なくシャワーに入る


一回入ると一時間は出てこない

それを一日に何回も繰り返す


そして泣いている



洋平が来ている時は気づかれないように声を殺して泣いているが洋平は知っていた



脱衣所のドアを開けると今日も名無しさんの泣き声が小さく響いている



洋平は風呂場のドアをコンコン、とノックした



すると泣き声が止んだ


「よ…洋平くん?」


「あぁ」


「ごめんね、急ぐから…」


「いいよ、待ってるから」




そう言い残して洋平はリビングに行った



リビングに入るとテーブルの上にはバスタオルが置かれていた



(忘れてったのかな…)



洋平はバスタオルを手に風呂場に戻った




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