続きもの置き場

□イノチガケ
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【3】

一楽での出来事をきっかけに、イルカとカカシの距離は急激に縮まった。

誤解が解けたことももちろんあるが、カカシの素顔がイルカの中の何かを刺激した。
それは敢えて言うならば騎士道精神に近い。
上忍であるカカシがイルカに守られるなどというのは考えにくい話なのだが、
この人をできる限り戦わせたくない、もし共に戦うことがあればその時は自分が盾になろう、などと不遜にもイルカは思っていた。
自然、鍛練にも熱が入り、毎日は充実していく。

互いに誘い誘われ、夕食や酒をともにするようにもなった。
カカシは忍としてだけでなく、一般教養にも通じた博識な男だ。
いつも手にしているのは十八禁小説だったが、おそらく陰では多岐に亙るジャンルの読書家なのだろう。
話術にも長けているので互いに時を忘れ語り合う。
親しくなればなるほど、ともに過ごす時間も長くなっていった。


その日も、気がつけば夜更けだった。
店を出ると外は雨。
でもあとは帰るだけだし、と暇を告げようとしたところ、カカシがなにやら神妙な面持ちで言ったのだ。

「…イルカ先生。うち、すぐそこなんで雨宿りして行きませんか」

一度は辞退したものの、ぜひにと言うカカシの熱意に押し切られた形で、寄らせてもらうこととなった。
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