続きもの置き場

□約束の橋
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猶予は、明後日の朝まで。
休みを消化して出勤するはずのイルカが現われなければ、所在を確認されるだろう。
だがそれまでは、決して怪しまれてはならない。

カカシ自身は翌日、任務が入っていた。いつにもまして無駄なく遂行し、夜までに片付ける。
報告を終え、少々駄々をこねて明くる日の休みをもぎ取ると、人目につかないようにそっと里から出、
探索に向かわせていた忍犬たちを呼び集めた。
「手がかりは?」
答えはなかった。

ため息をひとつ吐き、これからの方針を決めるべく黙考する。
と。
「カカシ先輩」
どこからともなく、密やかな囁きが落ちてきた。
気配も感じさせず、自分を先輩と呼ぶ者。
(暗部…か)
まずいな。見られていたとすれば、自分の行動はあからさまに怪しいだろう。
誤魔化すか、口止めするか、事情を打ち明けて協力を請うか。
しかし、カカシに選択の余地はなかった。

「うみのイルカの居所は掴んでいます」

電流に打たれたかのように顔を上げてしまう。
しまった。
もしカマをかけられたのだとしたら。

「安心してください。彼は木ノ葉へ帰ってくる…はずです」
「はず、ってのは?」
「順調に進んでいればそろそろ着く頃合いだったのですが、休んでいるのか動けないのか、移動を停止しています」
「どこにいる?」
「南の街道脇の、森の中です」
カカシの忍犬の中でいちばん鼻の利く犬が、南の方角に顔を向け、集中するそぶりを見せる。
しばらくして風を捕まえたのか、鼻がぴくりと動いた。
「ほんとうだ。かすかにだが…匂いがする」
頷き、犬を労ってからカカシは再び顔を上げた。
「オレは、迎えにいってもいいの?」
「そうしていただけると助かります」
「なんかよくわかんないけど…ありがと」
返事はなかったが、待たずにカカシも駆け出していた。
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