裏道

□赤い糸
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「〈紅虎〉」
「え?」
「ご存知ですか?」
「…暗部の?」
「はい」
「ちょっとだけね。何度か任務で一緒になったから」
もう二度と会うことはないけれど。

10年も前に死んだ奴のことを、なぜ。知っているのか、そしてオレに聞くのか。
なんとなく身構えるカカシにかまわず、イルカは物思いに耽りながら続ける。
「どんな人でした?」
「んー。プライベートは知らないよ、戦場でしか会ったことないから。
でも、なんていうか、荒っぽい戦い方をする奴だったね」
「荒っぽい、ですか」
「うん。自分の戦闘力を誇示してる感じだった。暗殺の時はさすがに音も立てなかったけど、
乱戦になると鎖鎌とか使いたがってねえ」
「……」
「で?どんな関係だったの?あの女と」
「…つきあってたんです。2年近く」
やっぱりそうか、とカカシは内心ため息をついた。

「結構長いね。まだ十代だったんじゃないの?イルカ先生」
「ええ。中忍になってすぐ知り合って…暗部だったのは、亡くなってから知ったんですけど」
「ふうん。で、アイツにいろいろ教え込まれたんだ」
シーツに素肌で俯せるイルカの背を撫でながら、カカシは悋気をこめて言う。
するとイルカは、顔にかかった黒髪の隙間からちらりと横目で流し見て。
「ええ。最後の方は、ペニスバンド使われたりとかね」
カカシは思わず言葉を失った。
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