ロイヤルナイツの姫君

□こうしていることは平和なことなのだろう
1ページ/1ページ







デュナスモンは任務が終わり、彼はロードナイトモンが世界樹の傍に建てた豪邸に帰ってきた。長期任務だったから、正直疲れた


「・・・とりあえず、シャワーでも浴びて寝るか」


そう思って、ロードナイトモンと相部屋の扉を開けて・・・閉める


「・・・待て、落ち着け、俺。長期任務で疲れているんだ。そうでなければ、ロードナイトモンのあんな蕩けきったようなうっとり顔を見るなんて・・・ないない;;」


そう思いながら、扉を再度開けたが、やはり目の前には


『ん・・おいしい〜!ロー、これ、おいしい!』

「ウフフ、そうか。まだあるからもっと食べると良いぞ」

『ぅん!ありがとう!!』

「はぅっ!・・可愛いっ!美しい!」


彼女がクッキーを食べながら、ニッコリ笑顔を向ける。ロードナイトモンは、もう、うっとりして、今にも悶えそうな程だ。ある意味、美しくないと言いたいなとデュナスモンは思った。光希はデュナスモンに気づいた


「ぁ!デュナ!おかえりなさい!」


手を振って笑顔で言う彼女に疲れがどこかへ吹っ飛んだ。冷静さを装って入ってきたがロードナイトモンは、明らかに嬉しいということが分かった。理由は、彼の翼がやけにパサパサと照れ隠しで動いているからである


『デュナ!らっこ!』

「え?!いや、ちょっと待て、光希;;」

『・・・らめ?』


うるうるとすっこし潤んでいる瞳にデュナスモンは「ぅっ」と良心が傷つきそうになる。ただ、視界の隅でロードナイトモンが潤み顔の彼女の写真を撮っていたので軽くイラッとした


「いや、あのだな、光希。俺は今、帰ってきたばかりだ」

『ぅ?・・ぅん』

「だから、汗ばんでるんだ。シャワーを浴び終わるまで待ってくれるか?」

『・・待ったら、らっこ・・してくれる?』

「あぁ。いくらでもしてやる」


そう言えば、パァッと明るい笑顔を見せたのですかさずロードナイトモンがパシャパシャ撮りまくっていた


「・・・ロードナイトモン」

「ほら、デュナスモン。あまり、光希嬢を待たせるな。あとさっさとシャワーを浴びて来い」

「・・・・・・」
(この野郎っ)


普段、こんなことを思ったことは無いのだが、今回ばかりは軽く殺意が湧いたデュナスモンだったが、彼女が居る手前、それを抑えつつ、シャワーを浴びに浴室へと向かった。シャワーを浴び終わり、戻ってきたデュナスモンに、光希がタッタと小さな両手を広げて走ってきた。そんな彼女を抱え上げるデュナスモン


『きゃ〜!たか〜い』

「・・オメガモンもしないのか?」

『オメガモンはね、ぎゅ〜ってしてくれるの〜』

「・・・今までのアイツからは想像できないな;;」

「そんなことより、君ばかり狡いだろう。美しくないぞ」

「・・何がだ、ロードナイトモン;;」

「美しい私も光希嬢を抱きたい!」

「・・・あぁ、はいはい;;」


デュナスモンはロードナイトモンに彼女を渡す


「光希嬢〜」

『あい!』

「!!はぁ〜、美しい!」

「・・・あぁ〜、クッキーもらうぞ」


ロードナイトモンは、すりすりしてる。デュナスモンは、とりあえず、自分の席に着くとクッキーを食べた。光希は、紅茶クッキーをもぐもぐと食べていて、ロードナイトモンはそんな彼女をうっとりしつつ、紅茶を飲み、デュナスモンは、そんな2人を見つつ、溜息を吐いて紅茶を飲む


「・・で、ロードナイトモン。光希は何時まで居るんだ?」

「明日までだ、デュナスモン」

「明日?今日は、奴は内勤だろう?なのに」


デュナスモンの言う「奴」とは他でもないオメガモンである。デュークモンは短期任務ではあるが明後日帰還予定。彼女の育てる責任者はオメガモンだ。彼は今日、内勤。つまり、作業室での記録やら報告書などデータ処理の事務的なものだ。本来なら、今日中に迎えに来るだろうが何故、明日までなのか?


「オメガモンと勝負して、この私が美しく勝利したのだ!!」

「・・何で?」


あのオメガモンと一体何の勝負をしたのだろうか?オメガモンはロイヤルナイツのリーダー。それは、実力的なところで言えることだ。なのに、そのオメガモンと勝負して勝った。一体、何で勝負したのだろうか?


「まぁ、勝負、と言うよりは、賄賂だな」

「はぁ?!」

「この美しい私が、美しく撮った可愛く美しい光希の写真だ!」

「・・・・・あぁ〜;;」


つまり、目の前のコイツは彼女のお泊りを手にすべく、保護者であるオメガモンがぞっこんしていると言える彼女の写真で買収したらしい


「あぁ〜、それで、今日は光希は」


チラリと彼女を見るとクッキーを手にしてきょとんっとしつつ、その後、ニッコリ笑って答えた


『今日はね!ローとデュナのとこに、おとまり!』

「・・まぁ、オマエが分かってるならいいか;;」

「なら、美味いものを作らないといけないな。オメガモンのとこに居るとはいえ、あのデュークモンのを食べているんだから、舌が肥えてるだろうしな」


ポンポンと優しく頭を叩く


『デュナがつくるの?』

「あぁ。殆ど、俺だな」

『ふぅん、楽しみ〜』


へにゃっと笑う彼女を可愛いと思い、頭を撫でつつ、デュナスモンは紅茶を飲んだ



その日の夜


『おいしい〜!デュナ、これ、すっごくおいしいよ〜』

「そうか、たくさん食べろ。まだあるからな」

『ぅん!』


ニッコリ笑って、次の料理に手を伸ばす光希に微笑んでからチラリと視界の隅に入るピンクのナルシストを見る


「・・・・・・おい」

「はぁ〜、光希嬢、やはり、美しい〜」


ぱしゃぱしゃとカメラのシャッターを押しまくるロードナイトモンにデュナスモンは思いっきり轢きたくなったのだが、まぁ、分からないでもないと思う。目の前の天使のような笑顔で自分が作った料理をおいしそうに頬張る彼女は確かに可愛いのだ。オメガモンはそんな彼女に御執心だ。彼女を育て始めて、まだ1年と少ししか経っていないが、彼は、なるべくなら彼女の傍に居たいらしい。その為、これまでなら、不眠不休など当たり前だった彼が内勤なら、仕事終了時間きっちりに帰る。外勤で任務があろうものなら、予定している終了時間よりも早くに終わらせて帰ってくる。それだけ、彼にとって光希は大事な存在となっていた。本人は、気づいていないようだが。デュナスモンは、そこまで考えて少し溜息を吐く


「・・・・・」
(ま、ぁのオメガモンが、他に興味を持つこと事態、珍しいことだけどな)


デュナスモンは、チラリとロードナイトモンを見る


「・・・なぁ」

「ん?なんだい?」

「・・・・・あとで、笑った写真、俺のとこに送ってくれ」


こんなことを言う自分もある意味、オメガモンやロードナイトモンのことは言えないのかもしれないとデュナスモンは思った。夕食後、いつもは別々のベッドで寝ているのだが、今日は、彼女の願いもあり、キングサイズベッドの真ん中に彼女。彼女の右側にロードナイトモン、左にデュナスモン


「・・あいつらのところ、良く寝られたよな、こんなふうに」


デュナスモンは、そう思いながら、彼女を見る。すやすやと安心しきった顔で眠る彼女の寝顔はホントに可愛い。だが、彼女の話では時々、こうしてオメガモン、デュークモンの2人と眠るらしいがデュナスモンの記憶が正しければ、確か、彼らのところにあるのは、此処ほど大きいベッドでは無かったはず。なのに、3人で寝ることがあるとは、どうやって寝ているのだろうか?とデュナスモンは思う


「う〜ん、きっと美しくない状態だろうねぇ〜」

「・・・ある意味不憫だな;;」

「・・あぁ、せっかくだから、彼らのとこにこのくらいのベッドを1つ贈ろうか。美しい私の美しい贈り物だ。アイツ等には勿体無い気もするが、まぁ、光希嬢の為なら、安いものだ」

「・・・まぁ、オメガモンの部屋は他よりも広いから入らないことは無いだろうが上のアレは付けてやるなよ;;」


デュナスモンの言うアレとは、天蓋のことである。流石にこんなものが付いた状態のがデュークモンはともかくオメガモンの部屋にあるとか、正直、轢く


「む・・まぁ、仕方がない。それは今度、光希嬢が1人部屋を持った時に贈ろう」

「・・天蓋付ベッドはいつか贈るんだな;;」

「当り前だ。美しい光希嬢にはやはり、美しき姫のごとき天蓋が必要だろう」


想像してうっとりしているロードナイトモンにデュナスモンは「はいはい」と半ば投げ遣り気味に答えた。やる気のない返答でも今、想像に浸っているロードナイトモンには何の問題も無い。やれやれと思いながら、彼は、光希に毛布を掛けた



その日の夜は、仕事が終わってもオメガモンが部屋に戻ることは無かったらしい


「・・・・・・まだ居たのか?オメガモン」

「・・・・・光希がロードナイトモンの処に泊まりに行っている。1人で居ても、つまらん」

「・・・・・・そうか;;」

「なら、いっそのこと明日の分も終わらせて、彼女と過ごす時間を」

「・・・・・・・・・」


クレニアムモンは、翌日の仕事分も片づけ始めているオメガモンのその理由にやれやれと溜息を吐きつつ、思った


(・・本当に皆、彼女に影響を受けているな)


その中に自分も含まれていると言うことを彼は自覚していたのだった





後日、オメガモン達の部屋にキングサイズのベッドが届き、デュークモンは「これでいちいちベッドをくっつけなくて済む」とロードナイトモンにお礼の茶会用の菓子を渡したという
次の章へ
前の章へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ