ロイヤルナイツの姫君

□6章
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ロイヤルナイツと光希がデジタルワールドへ戻り、彼女は新たなデジタルワールドの神イグドラシルとなった。その為、世界樹は再生を果たした


『むぅ〜〜』


彼女は、つまらなそうにしている。それに少し呆れがちに声を掛けた


「随分と暇そうだな、光希;;」

『・・デュークモン』

「いや、正確には・・寂しい、か?」


フッと笑いかけるデュークモンに彼女は、少し顔を歪ませてから、スッと両手を少し広げた。デュークモンは彼女に近づいて、優しく腕に抱き、頭を撫でる


「・・光希」

『・・・・・・』


ギュぅ〜と彼の胸に顔を埋める彼女。デュークモンは少し困った顔をした。彼らのいる此処はイグドラシルの間。すぐのところには彼女の部屋がある。この世界に帰ってきてからは、彼女は自分の自室を持つようになった。デュークモンが此処に居るのは、彼女の補佐兼護衛。もちろん、彼以外には、彼女のパートナーとして傍に居るアルファモンもそうである。ただ、彼は今、任務に出ていて、居ない。ただ、デュークモンがこうして彼女の補佐と護衛をしているのは、オメガモンに言われたからと言うのもあるが、本来はロイヤルナイツのリーダーたるオメガモンが補佐をすべきだろうにと思う。それは、他のロイヤルナイツ達も同じだ。ただ、オメガモンがそれを頑なに拒んだ。だから、デュークモンが今、補佐をしている。時折、他のロイヤルナイツも来る。以前は、滅多にロイヤルナイツも訪れなかった場所。だが、今は、暇な時には訪れているし、彼女も以前と変わらず、他のロイヤルナイツの部屋を訪れる。ロードナイトモンも記憶を持ったまま甦った。ドゥフトモンの場合は若干異なっている。彼女としては、良いのかと思ったのだが、ロイヤルナイツの全員が「奴は更生させるべきだ」と言い、彼の場合は、デジタマからかえって現在の姿を取り戻しているが性格は大分穏やかだ。正直、「変わり過ぎじゃね?」とアルファモンがツッコミを入れるくらいに。ただ、同じところもあって、研究熱心過ぎて、部屋から出てこないが。それでも、時々、彼女が行くと笑いかけるのでそれを見たロイヤルナイツは、本当に轢いたのは記憶に新しい


『・・・』

「・・・;;」
(やれやれ;;)


デュークモンは溜息を吐いた。要は、現状、彼女と殆ど会っていないのは、各地を旅と称して飛び回るガンクゥモンとジエスモンを除けば、オメガモンだけであり、世界樹内に居る者の中では特に彼が会っていないと言うことになる。だから、彼女がこの調子なのだろうと思っていた。自分に引っ付いてくるのも。それにやたらとオメガモンが頑なな為に彼女への報告を全て自分に押し付けてくるからデュークモンとしてはどうにかしたかった。彼女も彼女で避けられていると分かっているからか、添い寝を頼み、頼まれるのもデュークモンだった。つまり、彼は、オメガモンと彼女の間で板挟み状態なのである


「・・・光希、オメガモンと何かあったのか?」


聞けば、ピクリと彼女の身体が反応した


「どうした?このデュークモンで良ければ、相談に乗るぞ」


そう言えば、顔を上げた彼女。その顔を見てデュークモンはギョッとした。彼女の目尻には涙が溜まっていた


「ちょっ!?光希?!本当に何があったのだ!?;;」

『っ・・・ぅっ・・・っ』


涙が彼女の頬を伝う。泣くまいと必死に拭おうとする彼女の手をデュークモンが止める


「光希。本当に何があった?話してくれるか?」


ギュッと彼女を抱いて、背をあやす様に撫でるデュークモン。彼女は、どんどん涙が込み上げてきて、彼の背に手を回して、泣きだしてしまい、泣き疲れて、そのまま眠ってしまった。どうしようかと困っていると気配を感じて、振り返れば、漆黒の鎧が見えた


「アルファモン!」

「・・・呼ばれてないらしいんだ」

「え?」

「光希のこと」

「呼ばれてない、とは?」

「オメガモン」

「?」

「オメガモンに呼ばれてないんだ。光希、て」

「なに?」

「オメガモン、光希のこと、今は光希とは呼んでないだろ?」

「・・・」


確かに、とデュークモンは気づいた。オメガモンは彼女のことを確かに名で呼んでいない


「そう。呼んでないんだ。光希のことをちゃんと、「光希」って呼んでいない。他のロイヤルナイツは、呼んでいるのに」


アルファモンの声はいつもより低い。怒っている彼はオメガモンに対して


「・・・光希ね。オメガモンに、告白、したんだ」

「なに!?」

「ついこの間」



1週間程前、デュークモンも任務で居なかった時にオメガモンは彼女の元へ報告しにきた。もちろん、報告だけ済ませて、クルッと彼女に背を向けて立ち去ろうとした。彼女はその背に抱きついて


― 好き ―

― ッ?! ―


だが、彼から発せられた言葉は


― っ・・・戯れを、イグドラシルっ ―

― !?・・・・・・っ ―


抱きついた腕は力が抜けて、スルリと彼から離れた。「ごめんなさい」と言えば、彼は何も言わずにその場を立ち去った



「な、んだと・・それは、本当なのか」

「・・あぁ」

「何故、オマエがそれを」

「光希に聞いたから。それに、俺は、デジメンタルに封じられても居た。今、それは光希の胸にある。以前のままに。だから、アレが見たものを俺も見れる。知れる。だから、分かる」

「・・・そう、か」

「・・デュークモン。俺は、光希が望むなら、何でもする」

「・・・アルファモン。そなたは」

「・・・俺は、光希の為なら・・・世界を混沌で満たしても構わない」


スッとアルファモンはデュークモンに近づいて、彼女を腕に抱くとデュークモンに背を向けた。デュークモンはその背に向かい言う


「・・・アルファモン」


ピタリとアルファモンは歩みを止めた


「光希は光希のしたい様にすれば良いとこのデュークモンは思う」


それを聞いて、アルファモンは振り返ることなく、イグドラシルの間を後にした。アルファモンの腕の中で光希は目を覚ました
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