ロイヤルナイツの姫君

□3章
1ページ/3ページ





オメガモンは、ある森に降り立った。其処にドルモンと光希を下す


「良いな、光希。私は、これからメルクリモンのところへ行ってくる」

『うん。分かった』

「ドルモン、光希を頼んだぞ」

「うん!任せて!!」


オメガモンはフワリと飛び立った


『アル、此処っていろんなデジモン達が居るんだよね!』

「ぅん!そうだよ」


彼女は、今回、オメガモンが行くところに連れて行ってもらった。いつまでも世界樹内ばかりと言うのも窮屈だろうとデジモン達も凶暴性の少ないメルクリモンが付近を統治している森へやって来たのだ。2人は、ヒョコッと現れた幼年期デジモン達と遊び始めた。一方、オメガモンはメルクリモンの処へやって来た


「久しいな、メルクリモン」

「ロイヤルナイツ、オメガモン。何用だ?」

「オマエが対峙したと言う人間達についての情報を貰いに来た」

「あぁ、そのことか」

「我らに害を成す者に関しては此方でも把握しておかなければならん」

「確かに」


メルクリモンはオメガモンに出会った人間達のことを告げ始めた。何人か告げた後に1人の男のことを告げる


「・・・イグドラシルを捜している、だと?貴様、我らが神のことを告げたのか!?」

「あの男は、我らに害を成すものではない。奴と拳を交えた時に感じたのだ」

「・・・・・・そうか。ならば、その男の決意、我らも見つめさせてもらおう」

「あぁ、そうしてくれ。だが、危険視すべき男も居た」

「何?」

「闇の気配を感じたのだ。どす黒く、野心、野望に満ちた邪悪な心を」

「・・・」

「人間はあの男以外は全員、人間界へ戻ったが、奴は気にかかる」

「・・・そうか。分かった。とにかく、人間が再び入り込んだ際もだが、デジモンが人間界へ迷い込んだ際の対処も考えておくべきだろう。現に事故とはいえ、2人も人間界から迷い込んでいる」

「2人?1人は、分かる。私の領域に居るからな。だが」

「・・今、森の中に居る」

「何?」

「数年前、デジタルワールドに迷い込んだ者が居るのだ。今の年齢でいえば、オマエのところに居る人間よりは年は上になるし、性別も異なる」

「何故、其処まで詳しいのだ」

「私が見つけたからだ。外回りの折に。世界樹へ連れ帰り、イグドラシルに御伺いを立てたところ、我らで育てろと言われたのだ。人間の成長、生態を知る為だと言われた」

「ふむ、一理あることだが、しかし、1人で森に居させるなど」

「1人ではない。光希には、ドルモンがついている」

「光希、というのか」

「あぁ。人間には、男女と言う性別が存在するそうだな」

「あぁ。イクトは性別では男だ」

「光希は女だそうだ」

「ほぅ。確かに、人間の生態を知ることは必要なことかもしれんが、しかし」


その時、2人はピクッと何かに反応した


「!?」

「何事だ!」

「メルクリモン様!」

「ゴツモン!何事だ!」


彼が話すには、森に人間が現れ、デジモン達を殺戮していると言う。オメガモンは、バサッとマントを翻した


「オメガモン!?」

「メルクリモン!話はまた今度だ!!」
(光希!)


オメガモンはメルクリモンの城を飛び出す。森は、火に包まれていた


「ッ・・・光希」


彼は勢いよく森へと向かった。その頃、人間に見つかり、ドルモンは彼女を護るために走っていたが光希が躓いて倒れてしまった


『きゃっ!?』

「光希!」


倒れた彼女に駆け寄る


「大丈夫!?」

『ぅ、うん;;』


見れば、膝から、少し血が流れている。人間達が迫る中、ドルモンは彼女を護る様に立つ。すると真黒な服を着た人間達の中に白衣を纏い眼鏡をかけた男が現れた


「倉田博士」

「ん?・・・」


倉田博士と呼ばれた白衣の男はドルモンに守られるように後ろに居る光希を見つめる


「おやおや、これはこれは、まさか、こんなところに居たとはね」


光希は彼のニヤリと笑うその顔が怖かった。彼は、彼女の胸にキラリと光る宝石を見つける


「なるほど、娘に渡していたわけですか。どうりで見つからないわけだ。士騎聖夫妻も往生際の悪い」

『・・な、にを言ってるの』

「分からないかな?君とは会っているのに」


ニヤニヤと笑いながら言う彼。彼女の脳裏に過る黒い影の記憶。彼女は怖くて首を左右に振る


『い、嫌っ・・・や、だ・・やだっやだぁっ!』

「光希!しっかりして!光希!!」

「彼女を捕まえてください」


彼は黒服の人間達に命令する。じりじりと迫ってくる彼ら


(守るんだ!守らなきゃ!光希は、俺が護るんだ!!)


ドルモンは彼女を護ろうとする思いが強まる


「光希は、俺が護る!・・ドルモン!進化〜〜!!!」


ドルモンは進化し、翼が生えた成熟期、ドルガモンへと進化を果たした


「ドルガモン!・・・メタルキャノン!」


ドルガモンは銀の球を放ち、人間達に放つ


「光希、乗って!」


ドルガモンは彼女を乗せると翼を動かし飛ぶ。木々の間を抜けていく


(オメガモンもこの事態に気づいてるはず。何とか、光希を護らなくちゃ)

『アル!アル!』


光希は怖さで彼の名を呼ぶ。ドルガモンは彼女を宥めながら、飛ぶ。だが、森を抜け、崖となっているところまでやって来ると人間達の攻撃がドルガモンの翼に当たる。断崖で落ちないギリギリのところで留まる


「っ;;」

『アル!』

「っ、大丈夫;;」

『アル!アル〜;;』


泣きながら、ドルガモンの名を呼ぶ。ドルガモンは、ギッと人間を睨みつける


(くそっ!もう、逃げられないっ;;)

「さて、もう逃げられませんよ」

『ぃ、や・・や、だ・・・・』
(助けて・・助けてッ・・・)


じりじりと迫る人間達


『た、すけて・・助けて』


倉田がニヤッと笑う。ドルガモンに抱きついて、彼女は叫ぶ


『助けて!オメガモン!!』

「グレイソード!!」


人間達の前に上空から斬撃が襲い掛かった


「な!?何事ですか!?」

「!・・今の」

「ドルガモン!飛べ!!」


オメガモンの声が崖の方から聞こえてきた。ドルガモンは察して、光希に「掴まってて」と言うとダッと崖の方へ走りだし、飛ぶ。オメガモンがドルガモンと彼女を抱き留めると上空へ飛ぶ。チラリと人間の中に居る白衣の男を捉えると視線を前へ向け、世界樹へのゲートを開き中へその勢いのまま入り込んだ。世界樹の前に出ると腕の中の2人を見る


「大丈夫か?」

「・・ぅ、ぅん。翼を少し、やられただけだから」

「・・・そうか」


光希の方を見るが彼女は、見上げることもせずにギュッと抱き付いたままだった。世界樹へやってくると入口にデュークモンが立っていた


「オメガモン!そなたの赴いたエリアが人間に襲われたと聞いたぞ!大丈夫か!?」

「・・あぁ。デュークモン、ドルガモンを医務室へ。ドルガモン、軽傷だろうが一応治療を受けた方が良い」

「ぅん。でも」

「・・光希は私が見ている。デュークモン、ドルガモンを頼む。今回の件は、あとで知らせる」

「・・うむ。分かった。ドルガモン、こちらへ」

「ぅ、うん」


ドルガモンはオメガモンからデュークモンへ手渡される。2人が医務室へ向かうのを見送るとオメガモンは、その姿を変えた。人の姿となった彼は、腕に抱く彼女を見つめる。ギュゥッと抱きついたまま離れない彼女の背を優しく撫でる


「光希」


声を掛けるが首を左右に振るだけで顔をあげない


「もう大丈夫だ。此処には、怖いものは何も無い」


ようやく落ち着いたのか、光希は彼を見上げる。オメガモンは、片膝をつき視線を合わせると片方の手で彼女の涙を拭った


「大丈夫か?光希」

『っ・・ぅん』


コクンッと頷いた彼女にオメガモンはフッと微笑めば、彼女も不安ながらも笑う


「今日は共に居る」


そう言い、彼女の頭を優しく撫でた。膝に怪我をしていることに気づいて、光希を抱えるとギュッと彼女は抱きついた


「・・・医務室へ行こう」


そういうとコクンッと頷いた。歩いて行く中、マグナモンが向こうからやって来た
次へ
前の章へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ