ロイヤルナイツの姫君

□2章
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光希がオメガモンに拾われ、ロイヤルナイツに育てられ始めてから3年が経った。7歳の彼女は今は、オメガモンのベッドの上で傍には紫と白の毛並、狐のような尻尾、2本足で立つ成長期のデジモンが居た。彼の名はドルモン。彼女の持つ不思議なペンダント「デジメンタル」から現れたデジモン。光希から「アル」と呼ばれている


『ねぇ、アル〜』

「光希、どうしたの?」

『今日、オメガモンとデュークモン、遅いのかなぁ?』

「ん〜、どうだろ?ここ最近、忙しそうだよね」

『ぅん』


少し落ち込みがちに俯く。以前は何かとオメガモン中心に誰かが傍に居た。もちろん、今はアルが居るのだが、それでも、最近、帰りが遅い。特にオメガモンが


「寂しい?」

『ぅん。でも、言ったら、困らせちゃうもん』

「・・本当に寂しい時は言った方が良いとオレは思うよ」

『大丈夫。アルが居るもん』


そう言って、彼にギュッと抱き付く。アルは、光希の2倍程大きい。彼は彼女にスリスリと擦り寄り、ペロリと頬を舐める。「くすぐったい」と笑う彼女。ベッドの上でじゃれつく2人。その時、ガチャッと扉が開く音がした


『「あ」』


中に入ってきたのは、オメガモンと相部屋のデュークモン。向かいのベッドにドサッと倒れこむ


『デュークモン!大丈夫?!』

「む?・・・あぁ、光希か。このデュークモン・・今、帰った;;」

『ぅん。おかえりなさい』

「おかえりなさい。すっごく疲れてるみたいだけど;;」

「・・あぁ;;」


フゥッと溜息を吐いてから上体を起こす。向かいを見れば、心配そうにしている2人が居て、少しクスッと笑い、立ち上がると彼女達の傍に行き、ヒョイっと2人をそれぞれ腕に抱えると自分のベッドに戻り座った。以前は、掌に乗せるくらいの大きさであったのだが、それでは踏んでしまいそうだし、いろいろ不便だとイグドラシルに報告したところ、ロイヤルナイツの身長データが世界樹内でのみ書き換え可能になった。それでも今のデュークモンと光希の身長差は2倍程はあるのだが、日常生活には支障をきたさないし、世界樹内でも本来の大きさに戻ることも可能である。それに伴い、現在この部屋は彼女に合わせている


「何かあったの?」

「・・うむ。まぁ、なぁ;;」

「?」

『どうしたの?』

「・・うむ。いずれ分かることだが人間が迷い込んだのだ;;」

『え?人間って、私みたいな?』

「うむ。そなたよりももっと年齢は上だ」

「じゃあ、大人が来たんだ」

「そうなる。だが、それ故なのだろうか。ゲートの開く率が増えているのだ」

「じゃあ、人間界にデジモンが行ったりしちゃうんじゃ」

「その通りだ。その為の調査を今、している最中なのだが、如何せん、情報が膨大過ぎてな;;」

『なんか、大変だね』

「うむ」

『・・そっか。じゃ、今日も居ないんだ』


少しショボンっと肩を落とす彼女。誰が居ないとは言わなくても、デュークモンもドルモンも分かっている


「・・光希」

「・・ふむ。光希」

『・・・・・・』

「・・会いに行くか?」

『ぇ?・・でも、忙しいから・・いい』

「・・光希は、本当に良い子だな。だが」


デュークモンは光希を両手で持ち上げて、お姫様抱っこをする


『ふぇ?デューク、モン?』

「そなたは、もう少し我儘でも罰は当たらぬぞ」

『え?』

「アル、そなたも来るか?」

「うん!光希が行くなら、オレも行く!」

「うむ。む、そうだな。ドルモン、問題集も持ってきてくれ。只行くだけでは暇になってしまうからな」

「うん!わかった」


デュークモンは、扉を開けて部屋を出た。普段、彼女は滅多に部屋を出ない。出たとしても、必ず、ロイヤルナイツの誰かと一緒。主にオメガモンかデュークモン。最近は、ほとんど出ていない。その為もあるが、今、デュークモンが何処に向かっているのかが分からなかった。着いた場所の扉をデュークモンは、肘で器用に開けた。其処には、1人だけ居た


「どうした?デュークモン。何か・・・?」


気配だけで誰が来たのか分かったのだろう。部屋に居たオメガモンは見ていた画面から彼の方へ向いた。するとデュークモンが彼女を抱いていたので本当にどうしたのかと首を傾げる


「何事だ?デュークモン」

「うむ。いや、何。光希が寂しそうだったのでなぁ」

「?光希が?」


彼の視線は、光希へ向けられる。彼女は「デュークモンっ」と彼を咎める声を出した


「フフフ、本当のことであろう?」

『っ・・そんなに・・・』

「ところで、オメガモン。まだ掛かりそうか?」

「あぁ。そうだな。もう少し掛かるな」


溜息を吐いて、疲れたように言うオメガモン。デュークモンは傍まで行くと彼にスッと光希を差し出す


『え?デュークモン?』

「?」


オメガモンは差し出された彼女を受け取る。今度はオメガモンにお姫様抱っこをされた彼女は、久しぶりの彼に嬉しくなるが、やはり、恥ずかしいようで顔を紅くし、オメガモンの胸にトンッと摺り寄せた。彼女にフッと微笑んでオメガモンは、膝の上に彼女を乗せると背にしていたマントを前に引っ張り、彼女に掛ける。空いた手でコンソールを動かし始める。光希はオメガモンを見上げてから、彼の見ている画面に視線を向ける。そんな2人を見て、ドルモンと目を合わせて、フフッと笑った。デュークモンは、オメガモンの席の隣にあるソファに腰掛けるとドルモンも其処に上る
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