ロイヤルナイツの姫君
□1章
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帰ってきたオメガモンは、神イグドラシルに報告したのだが、その際に告げられた言葉にロイヤルナイツへ緊急招集を掛け、緊急会議を開いた
「突然、緊急招集とは、どうしたのだ?」
「・・うむ。実は」
オメガモンは、籠を皆に見えるように置いた。その場に集まった全員が中をのぞき込むと其処には
「・・オメガモン、これは人間ではないか。それもまだ幼い」
デュークモンがオメガモンを見る。籠の中に居たのは、人間の少女。それも、見た目的にもかなり幼い
「あぁ。外回りの際に森で泣いていたのを発見したのだ。そのままにするわけにもいかなかったのでな;;」
「それで、我が盟友オメガモン。我が君イグドラシルは何と?報告はしたのだろう?なのに、緊急招集を掛けたわけは?」
「・・・神イグドラシルは・・人間に対し、興味をもっておられる。故に、この少女を育てよ、と;;」
「「「「「「「なんだとぉ〜〜〜!?!?」」」」」」」
その声の後、すぐに「あ〜〜ん!」と泣き声が聞こえて、見れば、少女が起きてしまい大泣きしている
「なっ!?オマエ達!大声を出すな。泣き出してしまったではないか!」
「そういう我が盟友も十分大声だが?」
「貴様は黙ってろ、デュークモン」
「・・・」
ロイヤルナイツの緊急会議は少女の泣き声で一時中断。今はどうやって泣き止ませるかで悩んでいた。ロードナイトモンは早々に逃げた。今、この場には、オメガモン、デュークモン、クレニアムモン、マグナモン、アルフォースブイドラモンが居る。エグザモンはその巨体の為、エネルギーが消費しやすいため、会議欠席。デュナスモンは先程までいたが、外回りの為、出ていった。他の者は、デジタルワールドを旅しているのでこの場に居ない。しかも、彼らの中で人間に対して、知識があるスレイプモンは人間界へ長期出張中
「ほらほら、金ぴかだぞ;;」
アルフォースブイドラモンは、マグナモンを持ち上げて彼女の傍に近づける
「・・・おいっ」
だが、彼女は泣き止まない
「ん〜、ダメか;;」
「て、俺を見せただけだろうがッ!あと離せ」
クレニアムモンは、近づいたら余計に泣き出されてしまった為、今は、リーダーであるオメガモンに「近づくな」と言われ、隅の方でいじけている
「うむ。ならば」
「?何か策があるのか?デュークモン」
「あぁ。このデュークモンに任せてくれ」
そう言うとイージスとグラムを出現させた。全員が何をするのかと思っているとデュークモンは、ちょんちょんっと指で彼女をつつく。彼女は若干、泣き止んだが、まだ泣き止む気配は無い。今は、呼ばれたから少し泣き止んだだけ。見上げている彼女。デュークモンは、イージスをグラムの上に乗せて器用に回し始めた
「よっ・・」
「・・・・・・デュークモン」
ただ、回し続けているデュークモンにオメガモンは「それが策なのか?」と聞けば「そうだ」と返された
「そんなことで泣き止むはずが・・」
「ないだろう」と言おうとしてた。ふと、見れば
『きゃっ♪あぁ〜ぅ♪』
泣き止んでいた。しかも、笑っている。デュークモンを見れば、ドヤ顔でイージスを回していた。よちよちと彼女はデュークモンに近づいてくるので回していたイージスとグラムを仕舞うと彼女を抱き上げる
「・・ところでオメガモン、名は?」
「・・・は?」
「この少女の名だ。我が君からは何もなかったのか?」
「ぁ、あぁ」
「ふむ。では名を付けねばならんと言うことではないか;;」
「なら、デュークモン。オマエは何かあるのか?」
「む。このデュークモンが名付けろと?」
「あぁ。気づいたのはオマエだろう?」
「そこは、我が君イグドラシルではないのか?」
「イグドラシルが何も言われてはいない以上は良いのではないか?」
「聞くべきだろう?」
「では・・」
オメガモンは、少し離れた。5分としない間に戻ってきて
「デュークモン、イグドラシルから名付け親になるように、と」
「分かった。では、このデュークモンが名付け親になろう」
デュークモンはオメガモンの右手、メタルガルルモンの頭に彼女を乗せる
「おい」
「これから、調べてくる。今日中に名を決めるとしよう」
デュークモンは、そう言うと図書室の方へ去って行った。アルフォースブイドラモンは、マグナモンによって作業室へ連れていかれた。クレニアムモンは、脱力したまま、意気消沈状態で去って行った。残ったオメガモンは、ハァッと溜息を吐いた。チラリと見れば、きょとんっとしている少女
「・・・・・・」
(拾ってくるんじゃなかったか。だが、あの場所は、凶暴な奴らの居る場所であったし;;)
チラリともう一度見るとジッとこちらを見ている。オメガモンは辺りをキョロキョロとして、誰も居ないことを確認すると、もう片方の竜の頭の手でそぅ〜っと彼女の頬に触れる
「・・やわらかい」
ふにふにと触れるとされるがままの彼女。撫でれば、嬉しそうな顔をした。オメガモンが撫でていた手を離そうとすれば、ギュッとその手に抱きついた彼女にオメガモンは驚いた
「・・・オマエは」
『?』
「私を、恐れないのか?」
『?』
彼女は首を傾げた。彼。オメガモンはロイヤルナイツのリーダーであり、異名として「終局の騎士」と言われている。それは、全てを終わらせることができる存在であるが故。だからこそ、彼は、他から恐れられていた。そんなことを目の前の少女は知らないが、彼女にとっては得体のしれないものであるはずだ。先程のデュークモンとは違って、腕も人に近いものではないのだから
「・・聞いたところで、無駄なことか」
はぁっと溜息を吐き、オメガモンは立ち上がると彼女を落とさぬように抱え、歩き始めた
自室へ戻るとデュークモンは既に帰ってきていて、普段、食事をしているテーブルには、本が10冊近く積み上げられているのが3,4つあった。彼は、本を見ながら、カリカリと紙に書いている。オメガモンは溜息を吐きつつ、彼女を自分のベッドの上に乗せるとデュークモンに近づく。本を見れば、人間界の文字の解読書や人間界の辞書
「・・態々、人間界の文字を調べているのか?」
「もちろんだ。彼女は、人間なのだぞ。やはり、人間の文字で名を付けるべきであろう?」
「・・・そういうものなのか?」
「そういうものだ」
「・・・だが、解読書と辞書は分かるが、他のは何だ」
「うむ。検索を掛けて分かったのだが、他のは名付けに関する本だ。人間がこれまでに子に付けた名があるらしい。何か参考になるかと思ってな」
「ふむ」
「・・む、そうだ。オメガモン、キッチンにパンは焼いてあるからあとは任せる」
「・・食事をするテーブルで調べるな」
「仕事用では、広げられんのだから仕方ないだろう」
オメガモンは溜息を吐き、彼女を連れて、キッチンへ向かい皿に乗るパンを持ち、仕方なく、自室で仕事する際に使用しているテーブルに置いた。椅子に座らせると彼女には大きいようなので、今度、買わないとかと考える。適当なパンを渡せば、彼女はパクッと食べ始めた
「・・・美味いか?」
『あ〜ぅ♪』
嬉しそうに返事をした彼女に「そうか」と言うとパンに手を伸ばし、彼も食べ始める。チラリとそれを見ていたデュークモンはフッと微笑み、再び、紙と辞書に目を向けた
(オマエがそんな顔をするとはな)
食べ終わり、彼女は今、オメガモンのベッドの上ですやすやと眠っている。オメガモンは仕事用のテーブルで報告書の作成を行っている。オメガモンが報告書を作成し終わる頃、デュークモンは、テーブルに突っ伏した
「・・・デュークモン?」
「・・出来たぞ;;」
オメガモンは、デュークモンに「聞こう」と言うとデュークモンは、真っ白な紙にカリカリと書くとオメガモンに渡す
「・・・・・・・デュークモン、これは・・・・・・・・・何と読むのだ;;」
「む。分からんか?」
「分かるわけがないだろう!私は、人間界の文字は知らないのだぞ;;」
「む、そうだったな。では、デジ文字で・・・これがそうだ」
別の紙をオメガモンに渡す
「・・・・・みつき?」
「うむ。光希だ。今、スレイプモンが行っている国の者とデータが酷似している。その国出身かは分からないが、やはり、近しいのであれば、そちらに準ずるべきであろう」
「ふむ、なるほど」
チラリと彼女を見る
「光希、か」
「気に入ったか?」
「?気に入る?何をだ?・・・だが、良い名ではあるな」
「フフフ、相変わらず素直じゃないなぁ」
彼の呟きはオメガモンには聞こえなかった。デュークモンはオメガモンに1つ提案をした
「何だ?」
「スレイプモンに情報を提供してもらってはどうだろうか?」
「スレイプモンに?」
「今は人間界に行っているではないか。我らの知らぬことも知っているだろう」
「ふむ。そうだな。聞いてみるか」
スレイプモンへ事情を説明したメールを送信した。その返信は翌日には届いた。彼女の状況も送っておいたのでそれに対する返信も来ていた