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□特別な日と日の間に特別な甘い日を
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人間界のとあるマンションの一室。其処には、普通の一般人の女性が住んでいるのだが、彼女の貯金には、一般人?!と疑いたくなるような金額が存在している。だが、それもそのはず。彼女のパートナーが、高給取りなのだから


「・・光希、今日も仕事か?」

「うん」


そんな彼女に話し掛けるのは、純白の鎧を身に纏う者。オメガモン。彼こそが高給取り。理由は簡単。彼は、デジタルワールドのネットワークセキュリティ最高峰たるロイヤルナイツであること。デジタルワールドの金銭は、現実世界の金銭へ換金可能。またその逆も然り。しかも、彼は、自分に対して、かなりの無頓着であるのか、全く、欲しいものとかが無い。だから、貯まる一方なのである。だから、オメガモンの給料が彼女の口座に振り込まれる。彼女は口座を2つ持っている。オメガモンも自身の口座と言うものを持っているのだが、主には、デジタルワールドで使用する為の口座としてある程度である


「・・・正直なところ、別に光希が仕事をする必要性が無い気もするが」

「いやいや、1日中、ゴロゴロしてるとか無いから;;」


彼女の場合、オメガモンに養われるのを良しとしない。オメガモン自身も養っているとは思っていないのだが


「・・・ゴロゴロしてる光希も可愛いと思うが」



そう言われて、彼女は顔を真っ赤にしていた


「〜〜〜〜〜っ、そ、それより、今年はごめんね。ちょうど仕事が重なっちゃって」

「?何が?」

「バレンタインのチョコ;;」


彼女が肩を落とすのでオメガモンは「気にしていない」と彼女の頭を撫でる。いつもは毎年、手作りを作っていたのだが、今年は、仕事が重なったり、人手不足で駆り出されることが多かったりで、作る暇がなかったのだ。その結果、今年のバレンタインは過ぎた


「さぁ、遅れるぞ、光希」

「う、ぅん。いってきます」

「あぁ。いってらっしゃい」


彼女を送り出した後、彼は、デジタルワールドで買っておいた物を取り出してキッチンに広げる。今や、金銭だけでなく物流も現実世界と可能になっていた。特に、オメガモンのように有名なデジモンが現実世界で買い物をしようとすると物凄く目立つ。デジタルワールドでも目立つが、世界樹の傍の街なら、ロイヤルナイツもそこまで目立たない。オメガモンはキッチンに広げた物を見て、それから、同じロイヤルナイツであるアルファモン(彼は、根っからの甘党で自分で作る)から借りた菓子のレシピ本を広げた


「・・・よし、始めるか;;」


彼は、レシピ本を見ながら、買ってきた物に手を伸ばした




夕方になり、彼女が帰ってきた


「ただいま〜」


なんだか、部屋の中が甘い匂いがする気がする。ついでに部屋は暗い。オメガモンは非番であったはずだが、急遽、任務でも入ったのだろうかと思ったが電気を付けたら、ソファの上に居た。明るくなって現れた白に彼女は思いっきり驚いた


「うわぁ?!」

「・・・ん?ぁ、光希」


何だか、少し、落ち込んでいるような気がするのは気のせいだろうか?


「ど、どうしたの?電気も付けないで;;」

「・・・ぁ、そのっ・・・;;」


気まずそうにしている彼に本当にどうしたのだろうかと思っていると彼は、おずおずと手作り特有のラッピングされた物を両手で差し出して来た


「え?こ、これ」


唖然としている彼女はオメガモンに視線を向けると彼は、恥ずかしそうに顔を紅くしている


「・・・そ、そのっ・・・毎年、バレンタインは貰っていた、のに・・私は、その、ホワイトデー、も・・お返し、とか出来ず、市販、だったり、したから・・た、偶には、私から、と、思って///」

「え?じゃあ、手作り?」

「///」


彼は、顔をそらしながら、可愛くコクンッと頷いた。彼が手にしている物を受け取り、包みを開けると丸いコロッとしたトリュフチョコレート。ちゃんとココアパウダーが掛かっている。それをパクンッと口に入れる。オメガモンは、ドキドキしながら、それを見て居る


「ど、どう、だ?;;」


口の中でコロコロと転がして溶かしてから、モグモグ、コクンッと飲み込む彼女は、いつもはロイヤルナイツとしての威厳もある彼が不安そうな瞳で見つめてきているのが少しおかしくて、でも可愛くて、彼に近づくとチュッと彼にキスをした


「?!光希?!///」

「フフフ、美味しかったよ。ありがとう、オメガモン///」


そう言われて、彼は顔を真っ赤にしたと同時にホッとした


「そ、そうか。良かった・・・・・・ただ、その;;」

「?」

「その、初めてで、失敗もして・・・光希が帰って来る、本当にさっき、やっと出来て・・だから、そのっ;;」


オメガモンがチラリとキッチンの方を見るので彼女はキッチンに足を運ぶとチョコで汚れたボールやら泡だて器やら色んなものが散乱していた。しかも、チョコは固まってる。どうやら、さっき出来上がり、汚れていないところで急いでラッピングして、リビングのところに来たら緊張の糸が切れたのか、軽く意識が飛んだらしい。オメガモンを見れば、おろおろしている。普段の彼からは有り得ない姿に怒るに怒れない。何より、自分の為に彼がここまで頑張ってくれたのかと思うと余計に


「できれば、チョコの付いたボールはお湯につけるなりしておいてくれると嬉しかったんだけど」

「・・うっ;;」


しょぼんっと落ち込む彼に近づいて、彼女はオメガモンの顔を覗き込むように見上げる


「一緒に片付けよ」


ニッコリ笑う彼女


「!あぁ!」


オメガモンは、嬉しそうに答えた。片づけ終わり、夕飯も2人で作って、食べて、それも片づけ終わると彼女はオメガモンの腕に抱かれていた。オメガモンは夕飯後にソファの上に座り、自分の膝の上に彼女を乗せて、腕に抱く時間が好きだった。それは今日も同じ。いつもと違うのは、彼女が自分の手作りチョコをおいしそうに食べていることくらいだろう


「それにしても、これ、どうやって作ったの?家にはレシピ本とか無かったよね?」

「あぁ。アルファモンに借りた」

「アルファモンに?居たの?彼」

「ちょうど、3週間前に。あと、アルファモンに、菓子作りを、教えてもらった」

「え?!」

「・・・書類の未提出、半分免除を対価で」

「えぇ?!それも、凄い気がするんだけど;;」

「・・・そんなことは無い。光希の喜んだ顔が見れるなら安いものだ」


そう言って、彼は、すりすりと彼女に擦り寄る。顔を紅くする彼女は、目の前のパートナーが仕事に生真面目なことは知っている。それなのにそれさえも安いと言う。しかも理由は、自分の喜んだ顔が見たいから。そんなことをさらっと言ってしまう彼。今年は、手作りのものは用意できなかったし、来月もおそらく用意することは難しい。なら、どうお礼をしようかと考えて、彼女はチョコを口に含んで、オメガモンにキスをした


「んん!?んっ・・・んぅ///」

「んっ・・ちゅっ・・・んっ///」


彼にも甘いチョコの味が広がる。深い口付けが終わると、オメガモンは彼女を見る


「光希?///」

「・・・お返し///」


顔を真っ赤にして言う彼女にオメガモンは嬉しくて


「・・・そうか。なら、最高のお返しだな」


そう言って、オメガモンは彼女に今度は彼からキスをした



Fin



おまけ

オメガモンが彼女に菓子をあげれる程のものが出来上がるまでその失敗作はアルファモンのところにいったらしい


「・・・甘いはずなのに、しょっぱかったり・・すっぱかったりするのは何故だろうか?・・・うえっ;;」


その量が結構、多かったらしい;;
その後、デュークモンが彼の屍を発見したとかしないとか;;


「いつも、独創性のある(禍々しい)コーヒーを飲んでいるのに、なぜ?」

「いやいや、デュークモン、アレは軽くデータの海が見えたから;;てか、俺のコーヒーをアレと一緒にしないでくれ。美味いから、俺の」

(・・・同等だと、このデュークモンは思うのだが;;)
 

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