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□君以外何も望まない
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光希は目の前の人物を見る。白銀に金髪、稲妻型のヘアピンを付けた男性が少し気まずそうにしている
「えぇ〜と・・もしかして、オメガ、モン?」
「・・・もしかしなくても、私だ;;」
「・・え、と・・なんで?」
「・・私に聞くな」
溜息を吐いた人の姿をしたオメガモン。彼は、光希のパートナーデジモン。バサッとマントが風で靡く。それを手で少し払う彼を見ていると彼が視線に気づいて此方を見る
「?なんだ」
「え?・・う、うぅん;;」
「?」
クルッと後ろを向いた彼女に首を傾げる。風が強くなりだし、冷たい風が吹き始め、フルっと身体が震える。冷たい風から護る様にマントが肩に掛けられる見上げれば、隣にオメガモンが居た。人の姿でも元のデジモンの姿でも、彼は変わらない。それにフフッと笑えば、オメガモンが首を傾げる
「なんだ?」
「ぅん。やっぱ、オメガモンだなって」
「?」
首を傾げるオメガモン。光希は、彼にトンっと身体を傾けると何も言わずに引き寄せる
「・・・」
「・・・今日は、本当にどうした?」
「・・ぅん」
積極的に触れてこない彼女が今日は、やけに積極的だとオメガモンは思う。こんな日は、大体、疲れているか何かあったかしかない
「・・・何があった?」
「・・・・・・」
「光希」
彼女はただ、オメガモンに引っ付くだけで何も言わない。そんな彼女にやれやれと思いつつ、更に強くなってきたのでさすがに中に入ろうと進め、中々入ろうとしない彼女をほぼ強引に部屋に連れ込む。溜息を吐いて、ソファに座り、膝の上に彼女を乗せる
「何があった、光希。言え」
「・・・・・・」
「・・・光希」
「・・・言いたくない」
「・・・なら、私に関することだな」
「!?」
驚いた彼女が彼を見る。彼女が自分に言いたくないということは、自分に関することであるとオメガモンは知っている。それにここ暫くの彼女の行動を思い返せば、原因となるであろうことが幾つか
「・・世界樹で何かあったのか?」
「っ;;」
(図星か)
1つ1つ、言葉にし、彼女の反応から原因を突き止めようとオメガモンは考えた。言えと言っても、彼女は言わない。ならば、反応で突き止めよう
「他のロイヤルナイツに何か言われたか?」
「・・・・」
「・・我が君に何か言われたか?」
「ッ;;」
(・・・我が君イグドラシル、か)
オメガモンはロイヤルナイツのリーダーを担っている。だが、思い当たる節が見当たらない。ロイヤルナイツの仕事は、滞らせたことは無い
「イグドラシルに何を言われた?」
「・・・・・・」
「・・光希」
「っ」
彼女をギュッと抱きしめ、空いた手で彼女の目尻に溜まる雫を拭う
「・・泣くな」
「っ・・だ、てっ」
「・・・光希が泣く必要がどこにある?そなたには何も非は無い」
「・・っ、だ、て・・わ、っしが・・ぃ、るからっ・・何かの時にっ足手纏い、に、なるって・・」
「・・・」
イグドラシルは、時に非道なことをロイヤルナイツに指令を下す。だから、彼女が居ては、そうなった時に彼が従わないであろうと考え、彼女が身を引くように何か言ったとオメガモンは気づいた
「・・・光希が気にすることではない」
「っ、だって・・オメガモンはロイヤルナイツの」
「その前に、私は光希のパートナーだ。確かにロイヤルナイツとなったことは私の誇りだが、それよりも」
両手でギュッと彼女を抱く
「光希のパートナーであることが私の存在意義なのだ」
「!・・オメガモン」
「光希が私の傍に居てくれる。それだけで良い。そなたが傍に居ないのなら、私が生きている意味も無い。光希の傍が私の居場所で生きる意味だ」
「・・・良いの?傍に居て」
「当り前だ。傍に居ろ。オマエが居てくれるだけで良い。光希と共に居ることができないのなら、ロイヤルナイツで居ようとも思わない。だから、傍に居てくれ。私のパートナー・・私の、光希」
「っ・・ぅん。うん・・・傍にいる。傍に居て、オメガモン」
言うと、フッと微笑むオメガモンは、彼女の頬に触れ、ゆっくりと彼女と唇を重ねる。顔を離す
「・・光希」
「大好き、オメガモン。貴方が傍にいてくれれば良い。他には、何もいらない」
「あぁ。私も光希が居てくれればいい。地位も何もオマエに敵うものは無い。愛している、光希」
愛しく微笑むと彼女も笑みを見せた。オメガモンは何より彼女の笑顔が好きだった
「ようやく、笑ったな」
「・・っ///」
顔を真っ赤にした彼女にもう一度、微笑んで「からかわないで」と言おうとしているであろう彼女にもう一度キスをした
『君以外何も望まない』
(オマエの笑顔が私は好きだ。愛している。オマエが傍に居れば良い。他には何もいらない。望まない)