僕らのデジタルワールド

□2人の聖騎士と最愛の姫
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翌日、光希はオメガモンに起こされていた


「光希・・光希、起きなさい」

「んっ・・・んぅ?」

「・・早く起きないと、私が作った朝食、アルファモンに全部食べられてしまうぞ」

「?!・・ヤダ!」


ガバッと起きた彼女にオメガモンがフフッと笑う。見れば、オメガモンは、純白の服を汚さないように青いエプロンを着けていた


「おはよう、光希」

「・・おはよう、ファイラス」

「ほら、食事にしよう」

「ん」

「早く食べないと、迎えが来るぞ」

「?迎え?」

「選ばれし子ども達だ」

「・・ぁ」


少し、不安そう顔をした彼女にオメガモンは優しく頭を撫でる。ひょいっと彼女を抱き上げて、オメガモンはダイニングに向かった。其処には、椅子に座って、蜂蜜がたっぷり付いたトーストにかぶりついているアルファモンが居て、此方に気づいて、視線を向けた。蜂蜜が少し垂れて皿に落ちる。それにオメガモンが呆れている


「ぁ、おそよう、光希」

「むっ・・お!は!よ!う!アルファートっ」

「お・そ・よう〜vv」


ケタケタと笑うアルファモンにムスッとする光希。オメガモンは、彼女をからかうアルファモンに溜息を吐きながら言う


「・・アルファモン、蜂蜜」


指摘されて気づいたアルファモンは蜂蜜が垂れないようにトーストを少し傾けた。オメガモンは、アルファモンの向かいに光希を座らせると彼女に何枚食べるのかと聞く


「1枚でいい」

「そうか。分かった。蜂蜜?」

「ぅん」


オメガモンはキッチンへと向かった。アルファモンは食べていたトーストを食べ終えて、手に付いた蜂蜜をぺろりと舌で舐めつつ、空の皿をキッチンの方へ向ける


「おかわり!」

「・・貴様は食べ過ぎじゃないのか?もう、3枚目だぞ;;」

「美味いんだから仕方ないだろ!」

「・・・はぁ;;」

「で、おかわり」

「・・分かった、分かった。蜂蜜か?ジャムか?」

「蜂蜜!」

「はいはい;;」


溜息を吐いて、オメガモンは、トースターから焼けたトーストを取り出すと2枚には、バターと蜂蜜を塗る。もう1枚には、バターと林檎ジャムを塗り、それを大皿に乗せてダイニングにやってくると1枚をアルファモンの皿に、もう1枚を光希の前にある空の皿に乗せ、彼女の隣の空席にある皿に林檎ジャム付きのトーストを乗せると彼女の隣に座った。彼女には野菜ジュースを入れたコップを置く


「いただきま〜す」

「あぁ」


彼女はトーストにかぶりついた。それから、スクランブルエッグを食べる


「美味しい〜・・久しぶりのファイラスの料理〜」

「フフフ、ありがとう」

「・・オマエさ。料理のスキル高すぎ」

「・・貴様は、料理は出来ないしな」

「俺は、食べるの専門!でも!出来なくはない!けど!面倒だから、しない!」


そういうアルファモンに呆れた顔をするオメガモンだった。朝食を食べ終えた彼女は蒼いワンピースを着ていた。不安そうな表情をしている彼女だったが、ピンポーンっと言う呼び鈴の音にビクッと身体を強張らせた。オメガモンが出ると目の前には、空とヒカリとミミが居た


「こんにちはー!」

「こんにちは」


「あぁ。こんにちは。光希」


オメガモンのマントに隠れていた光希はヒョコッと顔を出した


「じゃあ、行っておいで」

「え?ファイラス、昨日、一緒に行ってくれるって」

「すまないが私は用事がある。選ばれし子ども達、私の代わりにアルファモン・・アルファートが行くがいいか?」


その言葉に光希だけでなく、奥に居たアルファモンまで声を出した


「はぁ?!おい、ファイラス!」

「良い機会だろう?それに美味しいものが食べられると思うが?」

「え?!・・美味しい、もの・・・」


アルファモンはオメガモンの言葉にかなり内心で葛藤しているようだ。それに空達は「なるほど」と思った


「ちょうど良いじゃん!甘いものとか、美味しいものとか、食べに行く予定もあるし!」

「!・・・・・・」


アルファモンは、マントをフッと消した。スタスタと歩いて行くと彼女の隣に立ち、オメガモンの方を向く


「今回だけだからなっ!」

「あぁ」

「行こう、光希」

「え?ぅ、うん。じゃあ、ファイラス、行ってきます」

「あぁ。行っておいで、光希」


扉が閉まると空が「じゃあ、行きましょうか」と言うと光希はコクンッと頷いた。それから、衣服店で服を選んでいた


「ん〜、士騎聖さんなら、こっちも似合いそうじゃないの〜?」

「そうね、そっちも良いかも」

「・・;;」

「そうかな?あたしは、こっちじゃないかと思うんだけど」


今、彼女は空達により、着せ替え人形よろしくで服選びのターゲットにされていた。おろおろしている光希


「・・おい」


そこにアルファモンが入ってきたので彼女は助けてくれると思った。空達の視線がアルファモンに向けられる


「そっちより、こっちの方が光希には似合うだろ?」


バッと彼が出した服に彼女は「えっ?!」と言う顔をして、3人は「良いかも」と声がハモる。アルファモンも交えて、あぁでもない、こうでもないと話していた。数着程、買ってから、5人はアイスクリームの店。アルファモンは、ジィッと見てから、まさかの5段アイスで、ペロッと舐める


「〜〜〜〜〜〜っ、美味い!」


アルファモンは、そう言いながら、舐めたり、スプーンで掬って食べている。そんな彼に空達は、少し笑う


「ねぇ、士騎聖さん」

「?なに?」

「アルファモンって、甘いもの好きなの?」

「うん。というか、食べるの好きだよ」

「へぇ、何か意外ね。でも、可愛いとこあるわね」

「ぅん」


少し嬉しそうにコクンッと頷く彼女


「ねぇ、光希っち、お昼は何食べたい?」

「え?光希っち?」

「そう!士騎聖光希だから、光希っち!良いでしょ!」

「・・ぁ、うん。そんなふうに呼ばれるの、初めて///」


そう言って光希は、顔を紅くしたのでミミは「光希っち可愛い!」と言っている。それをアイスを食べながら見ていたアルファモンはフッと微笑んだ


「貴方にとって、士騎聖さんは大切なんですね」

「?」


アルファモンに声を掛けたのは、ヒカリだった


「・・あぁ。アイツは、今の俺にとって掛け替えのない存在だ。アイツが心から笑うなら俺は何でもする」


そう言う彼はハッとして、ヒカリを見てから少し頬を紅くしながら、ツンッと別の方を向いて、アイスを食べた。それに少し笑うヒカリだった


その頃、ファイラスは来客を招いていた


「そろそろ来るだろうと思っていた、選ばれし子ども達・・それに貴様も」


其処に居たのは光子郎、太一、ヤマトとそのパートナーデジモンに西島大吾も来ていた。オメガモンは全員を中に招き入れ、お茶を出した


「・・それで?私に何の用だ?」

「聞きたいことがあります。本来、オメガモンとはウォーグレイモンとメタルガルルモンが合体した姿です。それなのに貴方はずっとその姿をしている」

「・・そのことか」


オメガモンは立ち上がり、窓の方へ向かうと窓越しに外を眺めている


「彼女のパートナーデジモンが貴方なら、彼女は2体のパートナーデジモンを持っていることになる」

「・・・そうだな。今は、光希も居ないし」


オメガモンは彼らの方へ視線を向けて振り返る


「・・確かに、私は元は2体のデジモンだった。だが、今の私は、退化はもう出来ない」

「え?何故?」

「・・俺≠フ相棒は、もうこの世には存在しない。いや、俺の中に居ると言うべきか」

「なら、オマエは何なんだ?」


ヤマトの言葉にオメガモンは答える


「俺の名は、ファイラス。嘗ての俺は、ウォーグレイモン。相棒のメタルガルルモンのファイガと共に光希を護っていた」


そう言って、オメガモンはウォーグレイモンの頃と同じ深緑の瞳を懐かしむように細める


「話してもらえますか?貴方に何があったのか。彼女に何があったのか」

「・・・あぁ、良いさ。それに、ファイガもそれを望んでいるだろうから」


オメガモンは、彼らに話し始めた。それは、彼らが想像していたよりもずっと重い過去だった



夕方になり、光希は空達と別れて、帰ってきた


「ファイラス!ただいま!」


其処には、彼が1人で待っていた


「あぁ、おかえり」

オメガモンが視線を彼女の後ろに向けるとアルファモンが紙袋を手にしていた


「・・また、随分と大荷物だな」


笑うオメガモンにアルファモンは、ムスッとしている


「光希の服」

「・・そうか」


アルファモンはオメガモンに紙袋を渡した


「ほぅ、良いセンスしているな。光希によく合う」

「ふぇ?!・・っ///」


彼女は、カァッと紅くなった


「さて、食事を用意するとしよう。アルファモン、風呂はもう湧いているぞ」

「!一番風呂〜!」


アルファモンは、タッと風呂場へ向かった。光希は、ダイニングのソファにストンッと座る。オメガモンはキッチンで食事の用意をしながら、見る


「・・光希、今日は楽しかったか?」

「・・ぅん///」

「そうか」

「今度は、温泉に行こうねって。他の選ばれし子どもも一緒に」

「そうか。なら、アルファートが喜ぶな」

「その時は、ファイラスも一緒だよ」

「!・・あぁ。次は共に行くから大丈夫だ、光希」


微笑めば、彼女はパァッと表情を明るくした





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