ロイヤルナイツの姫君
□2章
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「あぁ、そうだ。光希、そのままではつまらんだろう?せっかくだ、デジ文字の復習をしたらどうだ?」
デュークモンはドルモンが持ってきた物をスッと差し出す
「ん?そうだな。同じ画面を見ていても分からないだろうし」
オメガモンは、それを受け取り、自分の前でにそれを広げた。光希はコクンッと頷いて、広げられた問題集へ向き直り、カリカリと書き始めた。それを見つめてから、オメガモンは再び、画面へと向いた。デュークモンは、フフフッと笑い、ソファに横になり、ドルモンは彼の脇の辺りで丸くなる。掛布団を掛けて、2人は目を瞑った。暫くして、フゥッと溜息を吐くオメガモンは下を見ると書き途中で寝てしまった光希。フッと微笑み、隣を見ると同じくソファですやすやと眠るデュークモンとドルモン
「・・まったく、こっちが仕事をしていると言うのに、隣で寝るなど;;」
呆れたように言うオメガモン。彼は光希を起こさないように抱え、彼女が書いていた物を片づけ、傍で寝ているデュークモンを突く
「・・ん」
「起きろ、デュークモン。寝るなら部屋で寝ろ」
「・・・ん、ぅむ」
ゆっくりと身を起こしたデュークモンは、ドルモンを抱える。オメガモンが部屋の扉の方へ向かうのでデュークモンは彼女の勉強物品を手にして、彼に続いた
翌日、目を覚ました光希は、目の前にすやすやと眠るオメガモンが居て、驚いたと同時にホッと安堵した。久しぶりに彼が傍に居るのが嬉しくて、ピッタリと寄り添うようにくっ付く。起きる様子の無いオメガモンは、少しだけ、彼女を抱く手に力を込めただけだ。上の方からクスクスと笑う声が聞こえて、彼女が見上げると其処には、マグカップを手にしているデュークモンが居た
『デュークモン?』
「おはよう、光希」
『ぅん。おはよう、デュークモン』
「オメガモンは、たぶん起きないと思うぞ」
『え?』
「今日は非番だからな。それに相当徹夜もしていたようだ。最近は光希のおかげでそれも少なかったのだが、久しぶりに無茶をしたようだ」
彼女はチラリとオメガモンを見る。すやすやと眠り続けている
『・・・』
「ふむ。寝ている間に面白いことをするか」
『面白いこと?』
「そうだ。イグドラシルが新たなプログラムを御創りになった。それは、我々、デジモンの姿を人の姿にするものだ」
『え?人の姿に?』
「それのどこがおもしろいことなの?」
デュークモンの傍に居たドルモンが彼に聞く
「うむ。我らにはすでに導入済みなのだが、未だに誰もしないのだ。そこで、寝ているオメガモンにその姿になってもらおうかと思ってな」
『・・オメガモンの、人の・・姿』
「見てみたいと思わないか?」
『ぅん。見てみたい。そしたら、もっと近くに居られるかな?』
「そうだな。身長的には高いかもしれないが、今ほどでは無いだろう」
「では」とデュークモンは、ウィンドウを開いた。イグドラシルに何か言っているらしい。すると、オメガモンがピクッと身じろいだかと思うと彼の姿が変わっていく。白銀に金の髪が少し入り、稲妻型のピン止めをして、真っ白な服に裏地が紅い純白のマントを身に纏い、首から丸い宝石のついたネックレスを付けた男性が代わりに横たわる
『・・・オメガモン?』
「ほぅ。やはり、真っ白だな」
彼女は、恐る恐る触れるとモソッと身じろいだ彼が目を覚ます。青い瞳が眠そうに開かれた
「んっ・・・?・・光希?」
呟かれた声はオメガモンのもの。だが、彼は何かがおかしいと思った。彼女の顔がいつもより近いし、大きい。それに視界に入る白銀の髪。それは、一度見たことがあった。そう。イグドラシルに呼ばれ、あのプログラムの話を聞いた後に導入されて、誰も居ないところで変えた時の視界に入った髪。驚いて、オメガモンは飛び起きた
『わっ;;』
「なっ!?」
自分の身体を見れば、人の姿。寝ている間になるなど有り得ないと思っているとクスクスと笑うデュークモンを睨んだ
「貴様の仕業か!デュークモン!!」
「フフフ、そう怒るな、オメガモン」
「なら、私を怒らせるようなことをするな!馬鹿者!!」
「いいであろう?別に。人の姿になっただけではないか」
「良くない!」
イライラしながら言うオメガモンにデュークモンは、特に気にしていないようだ
「それにしても、それがそなたの人の姿とはな」
「・・なんだ」
「いや、そなたらしいと思ってな」
「?良く分からん。そういうオマエはどうなのだ」
「む?みたいか?」
「・・・・・・興味はある」
そう告げるオメガモンに「では」とデュークモンも人の姿になる。白銀に赤い髪がメッシュのように少し入り、白い服に腰には赤いベルトが2つ。紅のマントをデジタルハザードマークの付いた留め金で留めている。金の瞳が「どうだ?」と聞いてきている
「・・ふむ。貴様らしいな」
「フフフ」
クスクスと笑うデュークモンは「朝食でも作ってこよう」と奥へ入って行った。オメガモンは溜息を吐き、まだ眠いと再度、横になる。すると傍できょとんとしている彼女を見て、腕を広げると其処に嬉しそうに飛び込んできた。そんな彼女にフッと笑い、瞳を閉じた。少しして、抱かれている腕の力が抜けたことに気づいて、チラリと見上げると眠る彼の顔が見える
(今日は、このまま一緒に居られるかな?居られたら良いな)
そう思うと嬉しくなった
「やはり、寝てしまったか;;」
デュークモンは手にパンを乗せた皿を持って、やってきた。ドルモンは、光希に「食べようよ」と言う。ふわりと香るパンの香りにお腹がなり、彼女は顔を赤くした。クスクスと笑うデュークモンは傍に近づくとオメガモンを起こさないように腕を退け、彼女を抱き上げる
「オメガモンが起きるのを待っていたら、いつまで経っても朝食が食べれないぞ。先に食べてしまおう」
『・・デュークモンは今日は、お仕事?』
「む?」
彼女が首を傾げて聞いてきた。デュークモンは彼女にフッと笑う
「いや。今日はオメガモンと同じく非番だ」
『じゃあ、デュークモンも居るの!?』
「うむ。そうなるな」
『やったぁ!』
喜ぶ彼女に笑みが漏れる。本当に嬉しそうにする彼女に自分も嬉しくなる
「では、食べるか、光希」
『うん!』
「光希〜、デュークモン、早く〜」
『もう!アル〜;;』
笑い声が部屋に響く。その中でもオメガモンは起きなかった