ZXA小説

□ある戦いの終幕
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むかーしむかーし、昔といっても大体一週間ぐらい前昔のお話。

行方不明になっていたライブメタルモデルZを取り戻すため、四天王ズ+αとガーディアン+ハンターたちの壮絶な戦いが繰り広げられました。

海で潮干狩りしながら海岸を荒し、新聞の一面を飾ったカーチェイスの末、アウターでようやくモデルZを手にする四天王ズ。

しかし、ガーディアンたちの主人公補正が働き、結局四天王ズは吹っ飛ばされてしまいました。

同行していた一般人の少女、ツキリを置いて・・・。





ガーディアンベース、会議室。

広い部屋の真ん中には長テーブルと椅子。壁には大きなモニターが備え付けられており、今は画面は真っ黒になっており何も映していません。

いつもなら、ガーディアンの幹部がイレギュラーの事や今後の活動方針について熱弁をふるうのですが、今日はその幹部もいません。

部屋にいるのは、ガーディアンのエースメンバーと自負している自信家かつ腐女子。エールでした。

「今日来てもらったのは他でもないわ」

肘をついて顔の前で手を組むエールの肩には、窓から差し込んでくる日の光がダイレクトに当たっていました。

彼女は一人会話を楽しむような痛い娘ではありません。向かいの席にはもちろん話し相手がいます。

「何だよ、折り入って相談ってさぁ」

内容は告げられず、ただ連れてこられたルテクは頬杖を付いて明らかに不機嫌そうですが、今日はミッションを受注する前だったので、ストレスは少なめです。

「時間がないから単刀直入に言うわね。この前ツキリっていう女の子を捕獲したの」

「単刀直入どころかドストレートすぎんだろ!」

テーブルを叩いて反論するも、エールはいたって落ち着いており表情も、声色も、一切変えないまま話を続けます。

「あんな物騒な奴らの元に運命のゲームとは無関係な女の子を置いておくワケにはいかないの。だから家に帰そうと思うんだけど、あの子自分の家の事は一切口に出さないし、話をはぐらかされちゃうのよね」

マジメな話をしていても、ツキリの無駄に高度な口述によって話は脱線してしまい結局話は続けられない始末。

見かねたヴァンが話を戻そうとしても、全く役に立ちません。大体丸め込まれてしまいます。

深ーいため息をついたルテク、テーブルに置いていた手を額に当て、大変呆れた様子。

「頭とパワーはからっきし駄目だが、そういうトコは凡人よりも優秀なんだよなぁ・・・あーいうタイプって」

「その通り」

「何故即答できる」

睨んでも、ゆっくり目を逸らされてしまいます。心当たりが沢山ある人物の反応と同一してました。

「とにかく、自体はちょっと深刻なの。あの子ども家出っ子らしくって、素性を調べるために全国の警察やらに問い合わせて捜索願を片っ端から調べてみたけど、該当する捜索願はゼロ」

「見た目と中身に反して、随分訳有りなヤツなんだなツキリって。で?それと俺を呼んだ理由と、何の接点があるんだ?」

エールは組んでいた手を離し静かにテーブルに乗せ、ルテクを見据えます。

「まあ、仲良さそうだし」

「真剣な面して何言うかと思ったらそれだけか!」

本日二度目のテーブル殴り。ホームセンターで購入した安い机では一回の衝撃が限界だったのでしょうか、ヒビが入りました。

「だってアッシュとグレイに相談したら“ルテク呼べばいいんじゃない?あの子アイツに懐いてるみたいだし!”ってニヤニヤしながら言ってたし」

「懐かれたくて懐かれたんじゃねぇよ!アイツが勝手に寄ってくるだけだ!」

「まあまあ落ち着いて、報酬は弾むからちょっと協力してちょうだい?」

可愛らしくウィンクをきめれば、ルテクの顔から「怒り」は消え、テーブルの上にあった手は膝の上にキチンと置かれます。

「よしやろう、今やろうすぐにやろう」

真剣な趣でやる気を表現してくれました。基本金の話を持ち出せば素直になります。

このやる気を生かさない手はどこにある。エールは早速席から腰を上げ

「さすが金の亡者ね。ツキリがいる部屋に案内するからちゃんと聞き出して頂戴、それと・・・」

ふと、モニターの上にかけられている何の変哲も無い白い時計に目をやれば、時計の針は午前十時を指していました。

途端にエールは顔色を変えて慌てます。

「いっけない!アタシってばつい話を長引かせちゃった!」

「え?何の事・・・」

「十時から絵チャの約束してるの!悪いけど自分でツキリのトコまで行ってて!じゃあ!」

全てを投げ出し会議室から飛び出したエール、通路に張り出されてある「緊急時以外では廊下で走らない!」と書かれた張り紙の横を、ホコリを巻き散らしながら駆けていきます。

道中ガーディアンのメンバーが注意しようとしても聞く耳持たず、自室まで全力で帰還するのでした。

突風のごとく出て行ったエールに取り残されたルテクは

「プライベートより仕事を優先させろぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!」

絶叫しました。
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