ZXA小説
□よい子のためのおとぎ話 人魚姫編
1ページ/12ページ
昔々ある王国の海に人魚姫(てかテティス)という上半身は人間(てかレプリロイド)で、下半身は魚の可愛らしい女の子・・・じゃなくて男の子が住んでいました。ちなみに、何故「姫」がついているのに男の子なのかというと・・・複雑な事情があるからです。
「今日も海をパトロールっと」
テティスは毎日のように海をパトロールしていて、海を汚す不届き物を成敗していました。
そのため、王国では「海を汚すと人魚姫に殺される」と言われており、国の人々はそれを恐れて海にゴミを捨てていませんし、海岸のあちこちには「人魚姫に殺されたくなかったら海にゴミを捨てるな!海岸にも捨てるな!」と書かれた看板が置かれていました。後ゴミ箱も
余談ですが、先日漁師のボートが事故で壊れて、海にオイルが垂れ流しになった事件で、赤潮状態になった時、そのボートに乗っていた漁師全員がテティスの手で全治半年以上の怪我を負わされたそうです。おそろしや
今となっては人魚姫という存在は、この国の海の守り神のようになっており、国の高い丘の上には彼を祭っている祠がたてられてあるそうです。すげぇ
しかし当の本人はそんなこと全く知らず、夜の海を優々と泳いでいました。
ちなみに上半身はいつものパーカー着てますので、変な想像しちゃ駄目ですよ奥さん。
「何か上が騒がしいなぁ。今日はこの辺りで漁はなかったハズだけど・・・」
そう疑問に思ったテティスは、海上へと泳いで行きました。
海上に大きな船が浮いていました。
甲板にはドレスやタキシードを着た老若男女沢山の人がおり、皆楽しそうに喋ったり、料理を食べたり、踊っていたりしていました。まるでパーティですね、てかこれパーティです。王子の婚約祝いの
で、その王子はというと
「つまらん」
甲板のあまり人気がないところでそう呟き、海を眺めていました。すると
「ダンナー、早く料理食べないとなくなっちゃいますよー」
ちょっと心配そうに彼に話しかけてきたのは、王子の召し使いのツキリです。ただの召し使いの癖に王子に慣れ慣れしく話しかけますが、どこか憎めない女の子です。たぶん・・・
彼女に話しかけられた王子(てかヘリオス)は彼女に視線を向けることなく
「食べる気にならん」
「えー。折角ダンナの婚約祝いに私達ががんばって作ったごちそうなんですよー?」
「大体、俺はこんな婚約を認めた覚えなんてないぞ」
「でも昔からの決まりなんでこればっかりはね〜」
「・・・・・・ハァ」
「うわ、すっごいタメ息」
そのころテティスは
「うわー。大きい船だなぁ」
海上に出て大きな船を眺めていました。
すると
「ん?」
船の上から何かが落ちてきました。それはバナナの皮でした。つまりゴミです。
「・・・・・・・・・」
テティスはそれを見て、すぐに視線を上に向けると
「うわぁ――――――!しまったぁ―――!!」
彼の目に、タキシードを着こなし、両手で頭を抱えてどーしよーと焦っている男性が映りました。
この男性の様子からして、どう見ても「ワザと」ではなく「うっかり」バナナの皮を落としてしまったようですが、テティスには全く関係ありません。「海を汚すものはどんな者でも絶対なる悪。例外は認めない」がこの子の標語です。
テティスは赤い目をキランと光らせ、その男性を睨みました。男性はメデューサに睨まれたごとく、蛇に睨まれた蛙のごとく、猫に見つけられたネズミのごとく、母親に悪い点数のテストが見つかった子供のごとく硬直してしまい。動けなくなってしまいました。彼ピンチ
テティスはどこからともなく愛用の武器、ハルバードを取り出してかまえました。一体どこにしまっておいたんでしょうか
「とうっ!」
そして、テティスはイルカの様に水面から高く、高くジャンプしました。その時月が彼のバックに映り、非常に絵になる光景になりました。
今日のターゲット。タキシードを着こなした男性。決定。