ZXA小説

□道で拾うのは犬や猫だけにしましょう
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サンルの趣味はお散歩です。

一見とっても可愛い趣味ですが、行く場所はいつもアウターだし、たまに何かよく解らない機会テクノロジー的な何かを拾って帰ってくるので結構迷惑です。ちなみにツキリは彼女のお散歩コース上に倒れていて、それをサンルが拾って帰ったのがきっかけで居候になりました。それが全ての始まりだったのです。

そんなある意味、というか完全トラブルメーカーの彼女は、今日もお散歩中にあるモノを拾ってきました。





「何だこれは」

場所はオリキャラ美少女軍団の部屋。時間は昼の十二時弱。曜日は日曜日。天気は快晴の今日この頃、お散歩から何と人間を持って帰ってきたサンルは、早速ヘリオスに正座させられ、お説教されているのでした。

普段ならここで「まーまーダンナ落ち着いて」とツキリの一声が入るのですが、残念ながら彼女は今はいません。朝食後「今日新しいハ○ヒのフィギュアが出たらしいからちょっくら買ってくる!」と言い残して風のように出て行ったきり、まだ帰ってきてないのです。職務放棄しやがって

てっきりもうすでに彼女は帰ってきていて、昼食の準備が出来ていると思っていた四天王(シャルナク除く、なぜかコイツは毎週日曜は朝から夕方まで外出している)とプロパンコンビがこの部屋に入って最初に見たモノ、それが

「・・・・・・・・・・・・」

サンルがお散歩の途中で拾ってきた人(マーキングがないので人間、しかも男)なのでした。犬や猫ならともかく、何故コイツは何のためらいもなく人を拾ってくるのでしょうか、激しく謎です。

彼女に拾われた彼、見た目は十代ぐらいで髪の色は青。そして精悍な顔つきをしていました。つまりちとイケメンでした。

「今すぐに元にいた場所に捨てて来い!」

「ヤダ!ちゃんと面倒見るもん!だからいいじゃん!」

「愚か者め!貴様が最後まで面倒を見れるわけないだろう!」

「やってみなきゃわかんないじゃん!ねえテテぃス!」

「ちょ、僕に振らないで!」

ぎゃあぎゃあ言い合う二人は、まるで捨て犬(あるいは捨て猫)を拾ってきて、それを飼ってもいいかとせびる子供と、お前が最後まで面倒見れるわけないだろと反対する親の姿を連想させます。てかその時点で彼の人権が全く無いような気がするのですが

それをとても暇そうに観戦しているのは、さっき話しを振られたテティスと、腹がすきすぎてたまらないアトラスです。

「そういえばさ、サンルはこんな感じでツキリ拾ってきたんだよね」

「どうでもいいだろそんな話は、それより昼飯はどうするんだ」

ぼやくアトラスですが、それに答えようとする人はいません。テティスも黙っています。

ちなみにプロメテとパンドラはこの場にはもういません。「昼食がないなら仕方が無い」とパンドラが言って、プロメテの金で昼食を買っている様子が想像できますが、そうなっていないことを切に祈ります。

時計の短い針がついに一の所をさしました。もはや一同のハラペコ度はすでに限界を超えていてもおかしくありません。

「腹減ったー!飯まだかー!」

ついに気の抜けきった声でアトラスは叫びました。そこまでハラペコなのか

その言葉に、ただでさえ得体の知れないモノ(失礼)を拾ってきたサンルにイライラしていたヘリオスは、さらにイラっときてしまったらしく

「黙れ!今はあの馬鹿(ツキリ)が帰ってくるまで待っていろ!」

「お前の方が黙れ!百倍ぐらいうるさい!」

「貴様の方こそ黙れ!声を聞くたびにイライラする!」

「黙れ!お前は嫁の行動にいちいちイライラする姑か!」

「黙れ!貴様は警報時に鳴り響くサイレンか!!」

「・・・・・・」

怒りの矛先をアトラスにチェンジしてしまい、喧嘩勃発。そんな二人を見たサンルはどうしたらいいのか解らず、正座したままキョトンとしてしまいました。

ヘリオスの特に有り難くないお説教から、ヘリオスVSアトラスの仁義なき戦いへとチェンジしてしまったため、ここでテティスが動き出します。

「やめてよ二人共!どうしてこんなくだらなすぎる理由で喧嘩に発展するのさ!」

「・・・・・・」

さらに自分が手を出せない状況になってしまい、サンルの思考は完全に停止してしまいました。

この部屋がかなりカオスな空間と化した時、サンルが拾ってきた彼の両目がぱちりと開きました。金色の瞳です。
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