ZXA小説
□ハイパーバス物語
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夏で、夏休みだった。
オリキャラ(美少女)軍団(以下ガールズ)はGW中どこにも連れて行ってもらえなかったので、自分達でこっそりとどこかお出かけしに行こうと計画していました。
「さて、どこ行く?」
ツキリはテーブル(ちゃぶ台ともいう)に両手を置き、切り出すとサンル(鬼神モードです)が手を挙げ言い出します。
「アタシは別に行きたいとこなんてないからな」
ハッキリと言いました。てか彼女の場合「ツキリの行くところならどこだって行く」というのが本心なのですが決して言いません。もう、ウブなんだから
「鬼神ちゃんは希望なしか・・・ベニちゃんはどっか行きたいとこある?」
ツキリはなぜ手を挙げて言い出すのかはあえてツッコまず、話をベニへと振りました。
「・・・・・・別に」
彼女の返事はこれだけでした。そして他の事は何も言おうとはせず、そのままおやつのドーナツを食べ始める始末です。
そんな彼女を見たツキリはウムム・・・とうなって腕を組み
「両者共に希望なしか、ならばあれしかないね」
即座にサンルとベニは「アレって何!?」と言う視線を向けました。ちなみにベニはドーナツ食いながら
視線を送られている本人は勢いよく立ち上がり、拳をぎゅっと握って
「よし!午後からバスに乗ってお出かけするよ!ちなみに否定はベニちゃんしか受け付けないよ!!」
「さり気なくアタシの意見は無視か!」
とそれぞれシャウトしている二人を、ベニはキョトンとして見つめるのでした。
という訳で、本当に午後(十二時過ぎから)からお出かけする事になったガールズ
こっそり町に出て、バス停を見つけてしばらく待っていれば、バスは来るのでそれに乗り、丁度一番後ろの席が空いていたので三人はそこに座ります。
そしてバスはすぐに発車。
そこでサンルは切り出します。
「ツキリ、一つ聞きたい」
「なあに?」
ひざにランチボックスを乗せたツキリは間髪入れずに返事をしました。
「お出かけって言ってたけど、一体どこに行くんだ?」
読者も思ったことを思い切って言います。
「さぁ」
「はあ!?」
予想外のツキリの言葉にサンルは驚ろきます。
「ぶちゃけ私ね、この世界について一般的な知識はおじさまに教えてもらったけど他の事はほとんど知らないの(例:国名とか)それにレギオンズ周辺付近の町の名前だって知るわけないし」
のん気にとんでもなく馬鹿なことを言うツキリさん。
だけどサンルは怯まずに
「じゃあ一体どこに行くつもりだよ」
「テキトー。とりあえずテキトーなバス停で降りてフラフラするつもり」
「・・・金は?」
「おじさまからある程度おこずかい貰ってるから大丈夫!」
ツキリは右手親指をびしっとたてて自身満々に言いました。
「・・・帰りは」
「タクシーかな。後でおじさまに請求しときゃ問題なし」
平然とそんなことを言うツキリに対し、サンルは
「・・・ハァ」
と口からため息を漏らしました。どう見ても飽きれています。誰にって?アルバートにですよ。
「(ほんっとに子供に弱いんだから・・・あのおっさんは)」
やれやれと額に手を当てるサンル。その隣ではベニが窓の外を見つめ、道行く男性に次々とガン飛ばしています。
バスの外から見る人にとっては、とっても目つきが悪い女の子と化したベニに
「ベニー道行く人に(てか男に)ガン飛ばすなって日ごろから言ってるだろー」
サンルは注意するのですが、ベニは何も言いません。完全に無視ですね。
そんな様子を見たツキリは
「ベニちゃーん、ドーナツ食べる?」
「食べる」
即答したベニはツキリからドーナツを受け取り、窓の外の男にガン飛ばすのをやめてもぐもぐとドーナツを食べ始めるのでした。
「・・・」
ちょっとショックを受けたサンル。絶句しています。
「鬼神ちゃん?」
「どうしてかな・・・アタシの方がベニとの付き合い長いのに・・・何で言う事きかないのかな・・・」
思わず目頭を押さえるサンルにツキリは彼女の頭をぽんと撫でて
「鬼神ちゃん、大事なのは時間じゃないんだよ。どうやって好感度上げてベストEDまで行くのが重要なんだよ」
「・・・何でギャルゲーの話になってんだ」
おさえていた手を離し、サンルはツキリに視線を向けますが、ツキリは「気にしない気にしない」と言って誤魔化しました。サンルは誤魔化されました。