ZXA小説

□動物は忠誠の証
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日曜日。カレンダーの日付が赤くなっている日を指します。

レギオンズのどこぞかにある四天王たちと+αの居住区。アトラス、テティス、ヘリオスの3人はツキリたちが住み込んでいる和室に居座り、のんびりと朝の情報番組を見ていました。今週のニュースをまとめて報道しているよくある番組です。

×××で殺人事件とか◇◇で人身事故とか○○○○で自殺未遂とか、数多くの事件が報道されている中、世の中の人々の愚行の数々にヘリオスはため息をつき、テティスはのんびりお茶をすすり、アトラスは「後30分でアニメか・・・」とぼやいています。酷い差。

そんな中、木曜日に△△△で起こったイレギュラー襲撃事件と報道され、崩壊した町の痛々しい様子がテレビに映った時。

「ひとつ思った事がある」

と、テレビは見ているけど全く興味が無さそうな様子で、アトラスは口を切りました。

イレギュラー襲撃の類は彼らにとっては日常茶万事なので無反応に近いアトラスの言動も納得がいきます。一般の人ならイレギュラーに対し憤慨するか嘆くなりするので、彼らは普通ではないことはよく分かります。

「なぁにアトラス、例のアニメまでまだ29分はあるよ」

ヘリオスは当然無反応なのでテティスが返事をします。どうせまたくだらないコトなんだろうな・・・と飽き飽きしながら話を聞き流す姿勢。

「いやに細かい数字が出たが今は聞き流しておくとして・・・シャルナクの事だ」

「シャルナク?何で彼が出てくるの?」

「・・・アイツ、毎週日曜はどこに行っているんだ?」

テティスとヘリオスの表情が凍りついたのはほぼ同時でした。まるで、仕事のある平日の昼間に目覚めてしまったような趣。

「そういえば・・・確かに・・・」

「奴は毎週日曜になると忽然と姿を消し、夕方には何事も無かったかのように帰ってくる・・・最初は疑問に思っていたが、最近ではごく自然な事となっていた・・・」

「だろう?そして今日も朝飯を食い終わるなりさっさと出て行って行方知れずだ。アルバートの指令が無ければ基本的に暇だというのに奴だけ毎週毎週・・・何かあると思わないか?」

「何もないと思うほうがどうかしていると思うけど確かに気になる!」

いつもはとんでもない言動ばかりするアトラスが珍しくテティスとヘリオスの同意を得るような発言をしています。珍しい。

「アタシはアルバートから何か特別な指令を受けていると考えているのだが」

うわぁ、アトラスが珍しく真面目な事言ってる・・・よかった・・・この人まだまともな方だったんだ・・・。とテティスは内心感動するも

「あのロリコンのケのあるおっさんがわざわざシャルナクにだけ指令を渡すとは考えにくいし多分無いな。それならアタシに声をかけるはずだし、てかかけるに決まってる」

ごめん前言撤回。

「なら他に何がある」

「異性関係は確実にないだろあの性格だ。英会話教室でも行っているのか・・・と思って直接聞いてみたが違っていた、よく洋画を見ているからその可能性があったと思ったのだが」

「ごめん、君の発想の仕組みがよく分からない。本気で」

テティス、本日一回目の頭痛を覚えます。機械の体を持つレプリロイドが頭痛を覚えてしまうので、そろそろ健康診断に行った方がいいと思い始めました。

「その後もしつこく聞いたが結局教えてもらえなかった・・・だから強行突破を思いついた」

「ああ〜アトラス好きだもんね〜強行突破」

扉がなければ壁をブチ破れば良い精神の人です。テティスは大いに納得しヘリオスはため息をつきながらお茶を飲みました。

「ふっ・・・テティス、そう褒めるな」

「褒めてないからね」

満更でもないアトラスに冷たく返しながら、今週のニュースコーナーから美味しいグルメ情報に切り替わり、テティスの目が輝きます。

「いいなぁスイートポテト・・・」

「安心しろ今度作ってやる。それでシャルナクの行き先を暴く件だが」

「待ってアトラス、待って」

聞き捨てならない台詞に、羨望の眼差しだったテティスの目がマジになりアトラスを凝視します。おまけにヘリオスまですごい目つきでアトラスを睨んでおり、料理によるトラウマがどれほど深刻なのかを物語っています。

「待っていたら話が進まないだろう?だからアタシは迷わず話を続ける」

彼女は止まらず、そして向けられている視線を気にも留めず続けます。

「尾行だ。尾行をすればいい」





シャルナクは元ハンター。しかも暗殺を請け負っていた恐ろしいハンターです。

元暗殺者というぐらいですから警戒心も人一倍あり、つい最近ツキリが後ろから脅かそうとして怖い目にあったと話しています。

「で、どうやって元暗殺者を尾行するっていうの?僕らみたいな一般人が」

外に出たテティス、ヘリオス、アトラスの適合者たち。アニメはハードディスクに録画予約をしておきました。

呆れるテティスにヘリオスも小さく頷いていますが、アトラスは「アタシは一般人じゃない」と一蹴してから。

「ちゃんと考えはある。じゃなかったらアイツを尾行しようなんて言い出すワケないだろう」

「いつもの君なら言い出しそうだけどね」

これ以上ない説得力のある言葉。ヘリオスがまたもや頷いています。
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