ディスガイア小説

□隊長と部下、雨の日編
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雨も一層激しくなってきた頃、雨音以外に布をこするような物音が耳につきました。

「むむっ?」

物音に反応し、ベルはすぐに振り返ります。

雨が窓や建物につく音しか聞こえない部屋で小さく響いた物音、リペたちは廊下に出ましたし部屋にはベルしかいないハズです。

部屋も狭く部外者ちん入してきたとしてもすぐに分かるはず、なのにベルの視界にはそれらしきモノは映りません。何の変哲もないドアが目に付くぐらい

「気のせいかしら・・・」

疲れたせいで空耳でも聞こえたと自分を納得させ、テーブルの着替えに手をかけた刹那

「んん・・・」

声が聞こえました。部屋の外ではなく中から、それも結構至近距離から

耳を澄まさなければ聞こえない程小さな声でしたがベルの耳にあっさり入り、さらに聞き覚えのある声と判断した途端に体が凍りつきます。

まさか・・・と嫌な予感を感じつつ声がした方へ恐る恐る目を向けると、椅子全体とテーブルの一部を覆っている毛布があり、何か不自然な膨らみ方をしているように見えました。

「・・・」

何故今まで気が付かなかったのか。ああそういえばコーリーとマリィがあれを隠すようにしていたような・・・

ぼんやり考えている間にもそのふくらみはモゾモゾと動き出してベル硬直、その間にも毛布は内側からめくれて

「・・・・・・?」

眠気眼のアニューゼがひょっこり顔を出しました。しばらくの間ぼんやり正面を見ているだけでしたが、やがて頭の上にかぶさっている毛布を触ってひたすら首を傾げます。

「何で・・・こんな物が・・・?」

眠りから覚めたばかりの彼は横で硬直しているベルに気づいてない様子。このまま気づいてない隙に着替えを続ければ良いものの、アクシデントに見舞われたベルは大きく口を開けたまま微動だにしません。

やがてタオルを床に落としてしまい、その音に反応したアニューゼが視線を横に向け、とうとうベルの存在に気づいてしまいます。

「・・・」

横を見たら裸の女性がいるなんて想像していたでしょうか、もちろんしていない青年、相手同様絶句してしまいましたが、やがてゆっくり口を開き

「隊・・・長・・・?」

首を傾けつつ呼んでみました。あれ?何で隊長全裸なんだ?と疑問を抱くと同時に

「キャ―――――――――――――――――!?」

はい覚醒。ほんの少しの間意識を別世界に飛ばしていたベルはようやく現実世界へと戻り、天界の門まで響く絶叫を生み出したのでした。

「わあ隊長、大声上げてどうしちゃったんですかー?」

「隊長が悲鳴出すなんて珍しいですねー」

「あれれ?アニューゼさんったらどうしてこんな所にいるんですかーラッキースケベさんですかー?」

悲鳴がやむと同時に一斉に部屋に突入してきたリペ、コーリー、マリィの三人、ほくそ笑みながら上司たちを眺めています。リペはお面しているので表情こそ分かりませんが置いといて

「アナタたち確信犯ね!こんなトンデモナイ破廉恥なイタズラしかけちゃって!心臓に悪いじゃない!」

顔を真っ赤にさせたまま振り返ったベル隊長。突然の事に頭の中がこんがらがっているのか涙目になっています。免疫が無いのがバレバレです。

それに怯んだのはリペだけだったようですがコーリーとマリィは動じません。マリィはニヤニヤしたまま大きめのバスタオルをベルに渡して

「常日頃トンデモナイ言動を繰り出す隊長には負けると思いますよ」

なんて毒を吐けば「ムキー!」と典型的な怒り文句が飛び出すも、急いでタオルを体に巻いてナイスなバディを隠したのでした。

「ゲホッゲホッゴホッ」

一方のアニューゼ、寝起き様に女性の裸体を見てしまったせいでテーブルに伏したまま盛大にむせていました。こっちも免疫が無いのがバレバレですね

するとコーリーが目を輝かせ、顔を上げたくても上げられない上司の背中をさすりながら

「感情表現の乏しいアニューゼさんでも女性の裸を見たら動揺するんですね、新発見です」

「何が・・・どうなって・・・」

現在絶賛動揺中のアニューゼ、小刻みに震えながら事情の説明を求めればすぐに答えたのはマリィでした。

「それは私が説明いたしましょう!」

一年生になったばかりの子供のように元気よく手を挙げた少女はベルとアニューゼの間に割って入り、動揺しっぱなしの上司たちを交互に見て

「うんうん、狙った通りの反応してくれちゃって、アタシとーっても嬉しいですよお二人共」

「だからどういうことよ!」

怒られました。普段上司に叱られてばかりの体調が部下に怒る事は滅多になかったので非常に珍しい光景です。リペとコーリーが関心しています。

「まっマリィちゃん・・・隊長予想以上に怒ってるみたいだしふざけないで真面目に説明した方がいいと思うよ?」

「何言ってるのリペちゃん!アタシはいつでも真面目に不真面目なんだから!」

「不真面目じゃあ自慢にならないよ!?」
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