ディスガイア小説

□ドラゴン先生と子供たち
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ある意味問題児が集まる異色のクラス、一年×組に転校生がやってくる。しかも二人

かつて「厄介な生屠は厄介なクラスに!」という凶師の陰謀によって×組に押し付けられたミンティー以来の転校生、クラス一同が期待するのも無理ありません。

その情報を仕入れてきたスタレイによると

「廊下を歩いてたら凶師たちが“理事長が×組にあの二人を押し付けるらしい。あんな迷惑者はあの厄介なクラスに追いやった方が学園のためだとさ”って話してたのを聞いたんですぅ。しかも今日の朝いきなり来るっていうのも聞いたんですぅ!」

つい数分前に起こった出来事を、友人のタユマに熱弁しながら机をバンバン叩く姿に、クラスメート一同注目しています。

面と向かって話を聞かされている本人は、机の上に足を乗っけて組んでいるという、一般的に言われる不良スタイル(と言っても悪魔的な意味なら優等生スタイル)で座っており、驚く他生屠とは違って涼しげな顔で話を聞いていました。

「ほう、ミンティーの時もそうだったが今回もそんな理由で・・・」

「どうするつもりですぅ?」

「厄介なクラスか・・・凶師共にそう認識され続けているとは・・・くくく・・・いいじゃねぇか」

「悪いんですけど、今は喜んでる場合じゃないですよ・・・」

自分が指揮しているクラスが憎き凶師共に危険視されている・・・タユマにとって喜ばしい事です。

しかし今はそんな話はどうでもいい。転校生という重大イベントよりもクラスの批評を気にする友達に、どうして彼は自分のペースでしか生きられないのだろうか・・・。スタレイは心配の色を隠せません。

ほとんどの生屠は同じ反応を見せましたが、トルネアだけは静かに喜ぶタユマに対し「あんまり言動に表さずに喜ぶタユマ君も凛々しくてカッコいいわぁ・・・」なんて呟き、幼なじみと友達が呆れるにもかかわらず一人うっとりしています。

「それで、タユマ君。転校生さんはどうするの?」

話に割り込んできたのはスタレイと同じくタユマの友人エリロン。彼もまた自分のペースを持ちつつ、質問を投げかけてきました。

一旦喜びを頭の端に放置するという適当な処置を行ったタユマは腕も組むと、表情を大して変える事なく対策を練ります。

「そうだな・・・凶師に迷惑と言われている奴らだから、一筋縄ではいかない連中なのは確かだ」

「でも、なんだかんだ言って戦力にするんでしょ?」

「当然だ」

全凶師撲滅というを目標を掲げている×組は、強力な戦力を持つ人物がいればどんな手を使ってでも手に入れ、目標の要にしています。

生屠数五十人以上のこのクラス。そのほとんどはタユマの策略によって集められた(五割はトルネアが集めた)ところから、彼の目標に対する情熱は生半可な物ではありません。

なぜ、そこまで情熱を持つのかは未だ謎ですが・・・

「転校生か〜どんな人がくるのかしら。ランクB以上のイケメンがいいなぁ・・・」

イケメンに対する情熱がそこらのブサイク女芸人よりも強いトルネア、机に頬杖をつきながらときめいていました。

あやめは料理のレシピをメモ帳に書き込みながら「そーアルなー」と適当に流しましたが「ランクB以上」の発言に疑問を覚えたニトとミンティーはキョトンとしています。

「ランクB?何それ?」

「ランクって何?」

ヨダレを垂らして話を聞かないトルネアに変わって、メモを書く手を止めたあやめが説明します。

「そーいえばお前たちは知らなったアルな、トルネのイケメン事情」

『いけめんじじょう?』

一方で妄想によって有頂天のトルネアにソネリーが近づいて背後からの抱擁を試みましたが、右手裏拳のキツイ一撃により一発KO。窓の外に吹っ飛んでいきました。

ソネリーがトルネアに吹っ飛ばされる事は×組では日常光景と化しているため、誰も気にとめません。あやめたちも例外ではないため、誰も気にせず話は続きます。

「昔からトルネは初めて出会う男にランクを付けているアル。Sは超イケメンでAはイケメン、BはまあイケメンでCは普通、DはちょっとブサイクでEはブサイクでFはマジブサイクって具合アル」

「完全に見た目しか見てないじゃん。マジブサイクって何気に最低じゃん」

「トルネアってすごいなぁ・・・」と感心するミンティーの横でニトの正論。この天使のズレた感覚にはすっかり慣れたのでそのまま流しました。

正論を受けたあやめはそれに同意するように首を縦に振り

「そーアル。しかもCから下のランクの男は顔も名前も憶えない程徹底して嫌うアル。これだけは昔から譲らなかったネ」

「どうしてトルネアはランクを付けるの?」

「私にも分からないネ。出会った時からずっとそうだったアルから・・・」

ほんの少し呆れる幼なじみを尻目に、いつまで経っても有頂天のトルネア、妄想に胸を踊らせながらまだ見ぬ転校生に期待を膨らませています。

「トルネアすっごいキラキラしてるー」

「(アホウだ・・・)」

純粋な天使にはそう見えたのでしょうが、純粋じゃない盗賊にはただの馬鹿にしか見えなかった様子。何を言っても無駄になるような気がしたのであえて何も言いませんがその表情はあやめと同様に呆れていました。

こんな一筋縄ではいかないような奴らと絡んで大丈夫なのか自分の人生・・・。友人より自分の心配を思い浮かべている時でした。
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